富山地方鉄道14780形電車

富山地方鉄道14780形電車の概要

富山地方鉄道14780形電車は、1956年に製造が始まり、1958年までの間に合計6両が登場しました。これは、同社が初めて導入したカルダン駆動の電車で、先に製造された14770形電車の成功を受けての増備車です。この14780形は18メートルの2扉構造を持ち、日本車輌製造東京支店によって製造されました。14770形で見られた実績を基に、14780形では初めて2両固定編成を採用し、構成は制御電動車のモハ14780と制御車のクハ180となっています。

構造的特性

14780形の最大の特徴の一つは前面デザインに見られます。前面は非貫通の2枚窓となっており、1957年までに製造された車両はヘッドライトが一灯であったのに対し、1958年に製造された第3編成では中央に主灯、左右に副灯が配置されるデザインになっています。この第3編成では、貫通路も1.2メートルの広幅貫通路に改良され、後に増備された10020形や14720形にもそのデザインが引き継がれています。

側窓は一段上昇式の大型窓で、14770形からの流れを受け継ぎつつも、角をわずかに丸めることで現代的な印象を与えつつも大きな上昇窓の天袋を確保するために特に注意が払われています。全体的な形状は角張っており、後の10020形や14720形と比べると軽快さに欠けますが、落ち着いた風格をもっているのが特徴です。

車内環境

車内は扉間が固定クロスシート、車端部はロングシートとし、14770形と同様の内装が取り入れられました。ただし、乗務員室は片側のみ設置されており、その結果シートピッチが拡大され、居住性の向上が図られています。これにより、14770形よりも快適な乗車体験が提供されました。

足回りの性能

14780形は、14770形で好成績を収めた駆動システムを踏襲しており、同型の鋼板溶接軽量台車（日本車輌製造NA4P）が使用されています。電装系には東洋電機製造の製品が選ばれ、中空軸平行カルダン駆動方式のTDK-803-Aモーターが搭載されています。ブレーキ装置は電空併用の電磁直通ブレーキで、様々な運用に対応してきました。

運用実績

この14780形電車は、特急列車など富山地方鉄道の全ての運用に対応しました。しかし、固定クロスシート車であることから、14760形の増備が進むにつれ特急運用の機会は減少していきました。特に冷房が設置されていなかった第1編成は、後に特急運用にはほとんど登場しなくなりました。

1985年には、更新工事が行われ、側面窓がユニットサッシ2段窓に変更され、前照灯もシールドビーム2灯式に改良されました。1988年には第2編成と第3編成に対して冷房化も実施されましたが、第1編成は冷房化されず、1997年に廃車となりました。

その後、他の編成も16010形の導入に伴い1999年までに全て廃車され、結果的に14780形は形式消滅を迎えました。

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