富川運送

長崎の孤島を走るバス：有限会社富川運送と高島線の歴史

長崎県長崎市高島町に本社を置く有限会社富川運送は、長崎市コミュニティバス高島線の運行を委託されている、地域に根付いたバス会社です。高島という、長崎市街地から離れた島嶼部の交通を長年に渡り支え続けてきました。

高島炭鉱とバスの歩み

その歴史は古く、1963年（昭和38年）、旧高島町時代から始まります。当時、島内には炭鉱住宅や鉱業所、町立病院などが点在しており、それらを結ぶ交通手段として路線バスの運行が開始されました。連絡船発着場も結ぶ重要な役割を担い、島民の生活を支えるインフラとして機能していました。

1986年当時は、いすゞCCM370といった中型バスを用い、80円の均一運賃で島内循環路線を運行していました。しかし、1986年11月、高島炭鉱の閉山という大きな出来事が会社を襲います。炭鉱の閉山は、島の経済や人口に大きな影響を与え、バス事業の存続も危ぶまれました。島の人口が減少していく中でも、富川運送は運行を継続し、島民の生活を守るために尽力しました。

長崎市編入合併とコミュニティバス

2005年1月4日、高島町は長崎市に編入合併されました。これに伴い、富川運送が運行していたバス路線は、長崎市コミュニティバス高島線として引き継がれ、現在に至ります。現在も長崎市からの委託を受け、島内交通の重要な役割を担っています。

高島線の概要

高島線は、営業所を出発し、高島港を経由して島内を循環する路線です。運行本数は1時間に1本程度で、1月1日は全線運休となります。運行車両は、かつて長崎市都心部循環線「らんらん」で使用されていた中型バスが転用されています。これは、コスト削減と資源の有効活用という点からも、地域に配慮した取り組みと言えるでしょう。

運賃と乗車方法

運賃は1乗車100円と、非常に利用しやすい価格設定になっています。また、11枚綴りの回数券も販売されています。さらに、長崎市が発行する老人交通利用券や心身障害者交通利用券も利用可能です。ただし、長崎スマートカードは利用できません。

高島線の未来

富川運送は、公式サイトを開設していませんが、長崎市の公式サイトや、九州のローカルバス時刻表などを参照することで、高島線の詳細な運行情報を得ることができます。今後も、高島島の貴重な交通手段として、島民の生活を支える存在であり続けるでしょう。高齢化が進む島嶼部において、公共交通機関としての役割はますます重要性を増しており、今後の更なる発展が期待されます。過疎化や高齢化といった課題を抱える地方において、地域住民の生活を支える公共交通機関の維持は、重要な社会問題でもあります。富川運送の取り組みは、こうした地方の課題解決に向けた模索の一端を示唆していると言えるでしょう。

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