富施郁哉

富施郁哉（ふせ ふみや）は、1998年7月10日に茨城県笠間市で生まれた日本のプロボクサーである。現在はワタナベボクシングジムに所属している。かつてはヨネクラボクシングジムで研鑽を積んだ時期もあった。

アマチュア・キャリアからプロデビュー

富施がボクシングの世界に足を踏み入れたのは高校時代からである。アマチュアでの戦績は22戦17勝（5敗）を記録している。2017年1月23日にプロのリングに上がり、デビュー戦を判定で勝利した。同年にはバンタム級の東日本新人王を獲得し、迎えた12月23日の全日本新人王決定戦では、西軍代表の徳山洋輝と対戦。この試合を4回2分51秒TKOで制し、見事全日本新人王の栄冠に輝いた。

初の敗北とユース王座獲得

プロキャリアにおける初の敗北は2019年8月27日、後楽園ホールでの出来事だった。石井渡士也との日本ユースバンタム級王座決定トーナメント準決勝において、5回負傷判定（46-49×2、45-50）で敗れ、連勝記録が途絶えた。しかし、この経験を糧に成長を続け、2021年10月20日には同じ後楽園ホールで開催された「ゴールデンチャイルドボクシングvol.130」で日本バンタム級12位の田井宜広と日本ユースバンタム級王座決定戦を戦った。この一戦では終始優位に立ち、8回を戦い終えて3-0（79-73×3）の unanimous decision（一致した判定）で勝利し、第4代日本ユースバンタム級王者となった。

海外での挑戦とトーナメント出場

ユース王者として国内での活躍が期待される中、富施は海外での大一番に挑む。2022年5月11日、オーストラリアのニューカッスルでWBOスーパーバンタム級オリエンタル王者であり、IBFインターコンチネンタル同級王座決定戦も兼ねた一戦としてサム・グッドマンと対峙した。しかし、この国際戦では10回判定負けを喫した。この試合後、2022年5月13日付けで保持していた日本ユースバンタム級王座を返上した。

2023年3月31日には、大橋ボクシングジムが主催する高額賞金トーナメント「バンタム級モンスタートーナメント」への参戦が発表された。同年5月20日、墨田区総合体育館で行われたこのトーナメントの準々決勝で、増田陸と対戦。この試合は白熱したが、富施は7回3分にTKO負けを喫し、トーナメントの初戦で姿を消すこととなった。

日本王座への挑戦権獲得、そして栄光と陥落

トーナメントでの敗北から立ち直り、富施は再び日本王座を目指す。2023年12月10日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で開催された日本バンタム級最強挑戦者決定戦で、同級1位の那須亮祐と拳を交えた。この重要な一戦を8回3-0（79-72、78-73×2）の判定で勝利し、日本バンタム級王者である堤聖也への挑戦権を見事に獲得した。

そして2024年4月2日、後楽園ホールにて、堤聖也の王座返上により空位となった日本バンタム級王座を懸け、日本同級2位の杉本太一と王座決定戦を行った。このチャンスを掴んだ富施は、5回1分38秒にTKO勝利を収め、第76代日本バンタム級王者のベルトをその腰に巻いた。

念願の日本王者となった富施だが、初防衛戦で思わぬ結果となる。2024年7月18日、再び後楽園ホールで行われた日本バンタム級タイトルマッチで、過去に敗北を喫している日本同級1位の増田陸と再戦した。雪辱を期した一戦だったが、4回2分21秒にKO負けを喫し、王座から陥落した。この試合では増田にリベンジを許す形となった。

プロボクシングにおける通算戦績は18戦14勝（3KO）4敗である。

獲得タイトル
2017年度全日本バンタム級新人王
第4代日本バンタム級ユース王座（防衛0、後に返上）
* 第76代日本バンタム級王座（防衛0、後に陥落）

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