富貴 (寄席)

富貴（ふうき）の歴史と役割

富貴は、上方落語の寄席として昭和初期から30年代にかけて存在したが、その名を持つ施設は京都市新京極と大阪市天王寺区上本町という異なる場所に存在していました。この二つの富貴は、地理的に離れているだけでなく、歴史的背景や役割も大きく異なります。ここでは、それぞれの富貴の概要とその特徴について詳しく見ていきます。

新京極の富貴

京都市の新京極にあった富貴は、一般的に「富貴亭」や「富貴席」と呼ばれました。この名前には、商売の成功と結びつけて表裏一体の存在を意識する意味が込められています。最初期は落語や漫才の上演を行う演芸場としての役割を持っていましたが、1950年代に入ると、戎橋松竹が開設した京洛劇場の人気に押されて客足が鈍ることとなりました。

その後、富貴は演目を剣劇や実演へと切り替え、興行の方針を新たに定めましたが、結局1958年12月に演芸興行を終了し、ストリップ劇場へと転換しました。新京極の富貴は1958年にその幕を閉じ、以降はマツモトキヨシ京都新京極店といった小売店へと変容しました。

特に、この富貴の楽屋は狭いことでも知られ、多くの芸人たち、例えば夢路いとしや喜味こいし、さらには三代目桂春団治などが育ち、修行を積んだ場所でもありました。このように、新京極の富貴は上方落語文化の一端を担った重要な場所だったと言えます。

上本町の富貴

一方、大阪の上本町にあった富貴は、正式には「富貴席」という名前でした。この寄席は、明治から大正時代にかけて活動しており、「浪花落語反対派」の拠点として機能していました。これにより、上本町の富貴は、落語や漫才の公演とは異なる独自の立ち位置を持っていました。

上本町の富貴も、上方落語の発展に寄与した重要な場であったとされ、芸人たちがその舞台に立つことで、落語文化が広まっていきました。不正確に記録されることもあったこの時代の落語界なので、富貴の存在は特に注目されています。

まとめ

富貴という名称の寄席は、京都と大阪それぞれで異なる歴史を持ちながら、上方落語文化に重要な役割を果たしました。両者は直接の関係を持ちながらも、それぞれの地域で独自の発展を遂げており、当時の文化やエンターテインメントのあり方を理解する上で欠かせない存在です。現在も当時の文化を受け継ぐ形で、様々な形で上方落語は続いていますが、富貴とその背景を知ることは、現代の落語を理解するための貴重な手掛かりナリます。

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