寒熱

寒熱・陰陽について

八綱弁証における寒熱、陰陽とは、疾病の性質（病情）を区別するための重要な概念であり、体内の陰陽気の偏り具合、すなわち生命反応の強弱を表します。

熱証

熱証とは、体内の陽気が過剰に高まった状態、または陰気が不足した状態によって引き起こされると考えられています。これは、外部からの熱邪の侵入や、体内の陽気が過剰になることによって生じます。熱証の主な症状は以下の通りです。

顔の赤み、ほてり
冷たいものを好む
発熱
イライラ感
口の渇き
濃い色の少ない尿
皮膚や目の充血
便秘
赤い舌、黄色い舌苔
脈が速い

これらの症状は、体を温めると悪化し、冷やすと緩和される傾向があります。そのため、治療には体を冷やす効果のある黄連、柴胡、麻黄などの薬が用いられます。

寒証

寒証とは、体内の陰気が過剰に高まった状態、または陽気が不足した状態によって引き起こされると考えられています。これは、外部からの寒邪の侵入や、長期間の病気による臓腑の陽気不足によって生じます。寒証の主な症状は以下の通りです。

悪寒
手足の冷え
顔面蒼白
青白い肌
透明で量の多い尿
白い舌、湿った舌苔
脈が遅く、力がない

これらの症状は、体を冷やすと悪化し、温めると緩和される傾向があります。そのため、治療には体を温める効果のある附子、人参、生姜などの薬が用いられます。

寒熱の見分け方

寒証と熱証は、現れる症状が正反対であるため、比較的容易に見分けることができます。しかし、実際には寒熱が混在した状態や、寒証と熱証が交互に現れる場合もあります。そのため、正確な診断には、専門家による詳細な診察が必要です。

陰陽について

陰陽は、東洋医学の基本的な概念であり、すべてのものは陰と陽の二つの側面を持つと考えられています。陰は寒さ、暗さ、静けさなどを表し、陽は熱さ、明るさ、活動などを表します。健康な状態とは、陰陽のバランスが取れている状態であり、病気とは、陰陽のバランスが崩れた状態であると考えられています。

まとめ

寒熱と陰陽は、東洋医学において疾病を理解し治療するための重要な概念です。熱証は陽気の亢進、寒証は陽気の沈衰を意味し、それぞれ特有の症状と治療法が存在します。これらの概念を理解することで、より効果的な治療を行うことができます。

参考文献

教科書執筆小委員会著・社団法人東洋療法学校協会編　「東洋医学概論」医道の日本社 1993　ISBN 4-7529-5038-3

関連項目

* 陰陽

もう一度検索