寒竹伸一

寒竹 伸一（かんたけ しんいち）

1955年生まれの日本の建築家、都市計画家。都市と建築の両面に深い知見を持ち、国内外で多様なプロジェクトを手がけてきました。現在は、自身の設立した株式会社ブラハマアソシエイツ都市建築研究所の代表取締役社長を務める傍ら、静岡文化芸術大学デザイン学部空間造形学科の学科長として後進の指導にもあたっています。

経歴

福岡県に生まれた寒竹伸一氏は、建築の道を志し、1978年に東京大学工学部建築学科を卒業。さらに建築専門課程の修士課程に進み、1980年に修了しました。大学院修了後、世界的に著名な建築家である丹下健三氏が率いる丹下健三都市建築設計研究所に入所。ここでは約9年間にわたり、数多くの海外プロジェクトに携わり、グローバルな視点と実践的な経験を積みました。

特に、1985年から1987年にかけては、国土庁大都市圏整備局計画課へ出向。国の根幹をなす第四次全国総合開発計画や、日本の中心である首都圏の基本計画・整備計画といった、都市計画における重要な政策立案に関与しました。この経験は、後の都市計画家としてのキャリアに大きな影響を与えています。研究所復帰後、1987年には取締役に就任するなど、組織内でも重要な役割を担いました。

1989年、自身の理念に基づき、株式会社ブラハマアソシエイツ都市建築研究所を設立し、独立。同年にはSDレビューに入選するなど、独立当初からその才能を発揮しました。1992年には新潟県荒川橋の指名コンペティションで最優秀賞を受賞するなど、コンペティションにおいても高い評価を得ています。

実務家としての活動に加え、地方自治体への貢献も顕著です。1996年から2002年には上越市都市建築総合アドバイザーとして地域の都市づくりに助言を与え、浜松東第一地区市街地開発調査委員会の委員長や、静岡県PFI事業者選定審査会委員、静岡市プロポーザルコンペ審査会委員長、静岡市景観審議会委員長などを歴任。計画策定やプロジェクト推進における公正かつ専門的な視点を提供しました。

主な作品・プロジェクト

寒竹氏の作品は、建築単体から広範な都市・地域計画まで多岐にわたります。特に新潟県上越市周辺では、建築から都市基盤に関わるプロジェクトまで、地域に根差した一連の仕事を手がけています。

建築作品としては、日本理化学薬品本社ビル、高田ターミナルホテル、雁木通りプラザ、熱海ゲストハウス、福岡・鎌倉学園、新山の下排水機場、小林古径美術館、福岡銀行支店（西陣・天神・小倉）など、オフィス、ホテル、学校、公共施設、商業施設、住宅など、様々な用途の建物を設計しています。

都市計画・マスタープラン・ランドスケープの分野では、佐渡空港基本計画･周辺地区計画、マレーシア・デッサルリゾートマスタープラン、サイパンリゾートマスタープラン、古正寺地区計画、荒川橋、入広瀬ハーブ香園、直江津駅駅前広場、長岡の公園などを手がけており、国内外の多様な環境における都市空間のあり方を提案しています。

これらの作品・プロジェクトは、『日本現代の建築』といった専門書籍でも紹介されており、現代日本の建築・都市デザインにおけるその影響力と貢献が示されています。

寒竹伸一氏は、豊富な実務経験と学術的知見、そして公共分野での貢献を通じて、建築と都市計画の分野において重要な役割を果たし続けています。

参考文献

日本現代の建築vol.1 - ART BOX インターナショナル、2004年
日本現代の建築vol.2 - ART BOX インターナショナル、2006年

もう一度検索