寛延二年大洪水

寛延二年大洪水

寛延二年大洪水は、1749年の8月13日、現在の兵庫県姫路市に位置する播磨国の船場川において発生した大規模な水害です。この水害は「寛延2年の水害」や「播磨大水」としても知られています。

この洪水は、豪雨によって船場川の水位が急激に上昇し、市川取水口が決壊したことから引き起こされました。洪水の影響は甚大で、161戸の家屋が流失し、583町の田畑が被害を受けました。また、この災害によって402人もの人々が溺死するという痛ましい事態が発生しました。特に、船場地区は303名という多くの犠牲者を出し、その影響は地域全体に深く刻まれています。

この悲劇を受けて、後に埋葬された亡くなった方々を悼むための供養碑や菩提碑が建立されました。1755年には四郷町に「溺死者菩提碑」が建設され、さらに法華寺や見星寺にもそれぞれ供養塔と菩提碑が設置されています。特に、見星寺の菩提碑は1773年に建立され、その存在は当時の災害を忘れないための大切な証となっています。

この大洪水は、ただの自然災害以上のものでした。それは、人間の脆さや自然の力も示すものであり、その記憶は今も地域の文化や伝承に影響を与えています。姫路市内でも、この水害に関する教育や文化財の保護が行われており、地元の歴史を知る上で重要なテーマとなっています。

記録によれば、寛延二年大洪水は単なる水害ではなく、地域社会全体に深く影響を与える出来事でした。このような歴史的な水害について考えることは、自然災害に対する理解を深める上でも重要です。今日でも、こうした過去の出来事は教訓として受け継がれています。

参考文献

• - 橋本政次『姫路城史』中巻（姫路城史刊行委員会、1952年）
• - 姫路市教育委員会『姫路の文化財』第2巻（姫路市教育委員会、2002年）
• - 姫路市教育委員会『石造遺品銘文集』（1995年）
• - 『姫路城下浸水被害図』（姫路市文化財保護協会、2003年）
• - 山本博文 編『見る、読む、調べる 江戸時代年表』（小学館、2007年）

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