寛文近江・若狭地震

寛文近江・若狭地震について

寛文近江・若狭地震は、1662年に江戸時代の近畿地方北部で発生し、その規模と影響の大きさから歴史的な重要性を有する地震です。この地震は、主に近江国と若狭国で強い揺れが観測され、二回にわたって激しい振動が発生したと考えられています。

発生状況

この地震は寛文2年の5月1日（1662年6月16日）に、大雨の中で起こりました。近江や若狭では著しい被害が出た一方、京都盆地も影響を受けました。当時、京都は約41万人の人口を擁しており、日本の第二の大都市として繁栄していました。このため、京都では寛文京都地震とも名付けられ、また震源域が琵琶湖の西岸付近にあったため琵琶湖西岸地震とも呼ばれることがあります。

地震の記録によると、発生は午前10時から12時にかけての時間帯にありました。京都の『基煕公記』には、過去の宝永地震に比べてその揺れが5分の1程度の強さであったと記されており、京都でも特に被害が目立ちます。例えば、二条城は多くの損傷を受け、町屋が千軒以上倒壊したとされ、死者も200人以上に上りました。

被害の状況

近江では、佐和山での城の崩壊や、家屋の潰壊が深刻で、死者は30人を超えました。また、大溝では1,022軒の家が倒れ、38人が命を落としました。さらに、火災も発生し、朽木谷では特に被害がひどかったと記録されています。こうした状況により、全体の死者は880人以上、崩壊した家屋は約4,500棟に到達するとされています。

地殻変動

この地震による地殻変動も報告されています。三方五湖地区では湖の隆起があり、特に久々子湖が約3メートル隆起したとされています。この地殻変動により、いくつかの村が浸水する被害が出ました。加えて、津波の発生も懸念されており、過去の大地震とも関連性が指摘されています。

地震の影響と後の歴史

この地震は、未曾有の揺れとともに広範囲での影響をもたらしました。例えば、地元の記録では、震源に近い小浜では揺れが急激であり、京都では揺れの性質が異なることが確認されています。

その後の地震として、1662年の秋には寛文日向灘地震も発生し、17世紀後半には全国各地で地震活動が活発化しました。このように寛文近江・若狭地震は、後の大地震へと繋がる助長的な要因として理解されています。

結論

寛文近江・若狭地震は、江戸時代における重要な災害の一つです。当時の文献資料や記録から、被害の状況や人々の恐怖、地殻変動の影響を伝える情報が残されており、災害の教訓を学ぶための貴重な資料とされています。地震が引き起こした変化は、地域社会に深い爪痕を残しましたが、現在もその影響を感じることができるのです。

もう一度検索