實川額十郎 (2代目)

二代目 實川 額十郎について

二代目實川額十郎（にだいめ じつかわ がくじゅうろう）は、幕末の日本において特に注目を浴びた歌舞伎役者であり、1813年に京で生を受け、1867年にその生涯を閉じました。屋号は井筒屋であり、俳名には延若や延賞といった名前があります。彼の人生は、歌舞伎文化が絶えず変化していく中での一つの象徴とされています。

彼の幼少期は京で過ごし、やがて大坂南本町で成長を遂げました。若い頃から才能を見込まれ、初代淺尾額十郎の弟子となり「淺尾萬吉」という名で活動を開始します。その後、彼の素質がさらに認められ、師匠の養子に迎えられて「淺尾延三郎」と改名します。1833年には養父の改姓に伴い「實川延三郎」として活動を続け、特に上方を中心に名古屋での舞台においてその才を発揮しました。

1847年には大坂の芝居で師匠の十三回忌を執り行い、名作『心中重井筒』の紺屋徳兵衛役を演じることで、彼の名声はさらに高まりました。そして1865年の春、彼は正式に二代目實川額十郎を襲名します。

彼は世話物の立役を得意としており、幕末の上方歌舞伎においては、和事の名人ともてはやされました。しかし、彼の人生は順風満帆ではありませんでした。1840年頃から眼病を患い、1866年にはついに完全に失明してしまいます。このため「盲の額十郎」と呼ばれるようになりましたが、彼はその障害を乗り越え、名優としての地位を保ち続けました。

視覚を失った後も、彼は『絵本太功記』の武智光秀役を演じました。その舞台での熱演中に彼が二重屋台から足を踏み外してしまうというハプニングが発生しましたが、当時の伴奏の三味線が瞬時に「ズズズズン」と弾き、その音が観客の間で評判になりました。この出来事は後に歌舞伎の演技スタイルとして定着し、今も受け継がれています。

二代目實川額十郎の門人には、初代實川延若や初代實川八百蔵、二代目實川延三郎などがいます。彼らは額十郎から受け継いだ技や演技力を次世代に伝える重要な役割を果たしました。彼の影響は広範囲に及び、歌舞伎界において今もなおその名が語り継がれています。彼の生涯は、芸術と人間の強さを感じさせるものです。

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