審判学校

野球において試合を公正に進める上で不可欠な審判員の存在。特にプロフェッショナルなレベルで活躍する審判を養成するための特別な学校が、アメリカ合衆国フロリダ州に存在します。これが「審判学校」と呼ばれている施設です。

現在、メジャーリーグ機構（MLB）によって正式に認定されている審判学校は、世界を見渡してもこのアメリカ国内にわずか二校しかありません。その希少性から、アメリカ合衆国はもちろんのこと、カナダ、日本、プエルトリコ、オーストラリアなど、野球が盛んに行われている様々な国から、毎年数多くの人々がその門を叩きます。

審判学校は毎年、年明けの1月第一週から2月第二週にかけてのおよそ5週間にわたって集中的なプログラムを実施します。この短い期間で、審判として必要な高度な技術や複雑なルールの正確な解釈、そしてゲームコントロールといった実践的なスキルが集中的に教授されます。

入学を希望する者は、高校卒業後18歳以上であれば、その国籍や性別、これまでの審判経験の有無を問わず、誰でも受け入れられます。入学者の多くは将来的にメジャーリーグの審判員となることを最大の目標としていますが、すでにどこかのリーグやレベルで審判を務めている人々が、自身の技術や知識をさらに深めるために受講するケースも少なくありません。

しかし、この学校を修了したからといって、すぐにMLBの審判になれるわけではありません。メジャーリーグの舞台に立つためには、学校で非常に優れた成績を修め、マイナーリーグ審判組織（PBUC）への推薦を得ることが最初の関門となります。そして、マイナーリーグの審判員として契約できたとしても、そこからさらに厳しい競争を勝ち抜き、カテゴリーを上げていかなければなりません。最終的にメジャーリーグまで昇り詰められる審判員はほんの一握りであり、その道のりはプロ野球選手としてメジャーリーグを目指す以上に厳しく、困難であると言われています。

日本からも毎年数名の受講者がいます。日本のプロ野球（NPB）の審判員は、採用された初年度のシーズン終了後、研修プログラムの一環としてこの学校に派遣され、修了証明を得て帰国するのが通例となっています。一方、NPB以外の立場で受講する日本人、例えばアマチュアの審判員などは、多くの場合「メジャーリーグの審判になる」という大きな夢を胸に抱いて入学しています。

現在MLB公認の審判学校は以下の2校です。

ハリー・ウェンデルステッド審判学校
ジム・エバンス審判学校

かつては日本のセ・リーグ審判員がウェンデルステッド校、パ・リーグ審判員がエバンス校に留学することが多かったと言われています。

また、過去には以下のような審判学校も存在していました。

ジョー・ブリンクマン審判学校
ビル・キナモン審判学校
* アル・ソマーズ審判学校

審判学校は、野球のプロフェッショナルな舞台を支える高度なスキルを持つ審判を育成する、世界でも類を見ない特別な機関なのです。

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