寺師茂樹

寺師 茂樹

日本の自動車業界において、技術者そして経営者として要職を歴任してきた人物。1955年2月16日に兵庫県で生を受け、神戸大学大学院工学研究科にて計測工学を修めました。1980年、トヨタ自動車株式会社に入社し、そのキャリアをスタートさせます。

トヨタ自動車での歩み

入社後、寺師氏はまず実験部に配属され、技術者としての基盤を築きました。1995年には製品企画部門へと異動し、自動車開発の企画段階に深く関わるようになります。国際的な経験も豊富で、2000年には米国トヨタに駐在。帰国後の2005年1月には、トヨタ自動車第1トヨタセンターZSエグゼクティブチーフエンジニアに就任し、特に13代目クラウンの開発責任者を務めました。

経営層への昇進は2008年6月で、同社の常務役員に就任。同時期にはトヨタモーターエンジニアリングアンドマニュファクチャリングノースアメリカの執行副社長も兼務するなど、北米事業における要職を担うようになります。その後も北米での役割は拡大し、2011年5月にはトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカの取締役社長兼COOに、2012年4月にはトヨタモーターエンジニアリングアンドマニュファクチャリングソースアメリカの取締役社長兼CEO、そして同年4月にはトヨタ モーター ノース アメリカの取締役社長兼COOを務めるなど、北米におけるトヨタの事業を統括する重要なポジションを歴任しました。

2013年4月に専務役員として日本に戻り、同年6月には取締役・専務役員に就任。2015年6月には代表取締役副社長へと昇進し、戦略副社長会事務局長、EV事業企画室、コーポレート戦略部、調査部を担当するとともに、Chief Risk Officerも兼任しました。特にEV事業においては、2017年に設立されたEV C.A. Spirit株式会社の代表取締役プレジデントも務め、電動車両戦略の推進に貢献しました。2019年1月にはChief Technology Officer (CTO)として技術開発を牽引し、2020年4月からは取締役・執行役員としてChief Competitive Officer (CCO)およびChief Project Officer (CPO)の役割を担いました。

自動車業界・経済界での活動

トヨタ自動車での職務と並行して、業界団体や経済界でも活動しています。2020年5月には公益社団法人自動車技術会の会長に就任し、日本の自動車技術の発展に貢献。また、日野自動車やダイハツ工業の取締役も務め、トヨタグループ内の連携強化にも関与しました。経済界では、2023年6月に中部経済連合会の副会長に就任。その他にも、コンポン研究所監査役や国際経済研究所取締役兼理事なども務めています。

豊田自動織機会長への就任

2021年1月にはトヨタ自動車のExecutive Fellowに就任した後、2024年4月1日付で同職を退任。同日、株式会社豊田自動織機の顧問に就任しました。そして、2024年6月の同社の株主総会をもって、代表権を持つ会長に就任しました。この人事は、同社におけるエンジン認証の不正問題を受けて、豊田鐵郎会長が相談役、大西朗副会長が取締役に退くことによるものであり、不正からの信頼回復と再建を担う重要な役割を期待されています。

寺師茂樹氏は、技術者としての専門知識とグローバルな経営経験を活かし、自動車産業および関連分野で多岐にわたる貢献を続けています。豊田自動織機の会長として、その手腕が試されることになります。

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