対ハプスブルク同盟

対ハプスブルク同盟（ハーグ同盟）について

対ハプスブルク同盟、またはハーグ同盟は、1624年にフランスの宰相リシュリューによって結成された軍事同盟です。三十年戦争のさまざまな食い違いや対立が高まる中で、フランスはこの同盟を通じて神聖ローマ帝国に対する外交戦争を開始しました。加入国は当初、オランダ、デンマーク、イングランド、スウェーデンなどがあり、これにより反ハプスブルクの包囲網を形成しました。

背景

ボヘミア・ファルツ戦争によってハプスブルク家とプロテスタント諸侯との対立が深まる中で、フランスはハプスブルクの影響力を抑える必要性を感じていました。このため、リシュリューは反ハプスブルク諸国と連携を図り、包囲網を強化していくことを決意します。1624年6月にはオランダとの間で友好条約を締結し、同年7月にはデン・ハーグでイングランド、スウェーデン、デンマークとの間でも次々と友好条約が結ばれることになりました。

同盟の影響と結果

この同盟の成立は、当初はフランス陣営の強化につながるかに見えましたが、実際には様々な影響を及ぼしました。特に、カトリック連盟の盟主であったバイエルン選帝侯マクシミリアン1世が、フランスとの接近を志向していた矢先に同盟が結成されたため、彼は周囲の圧力に押されてハプスブルク家に再接近する結果となりました。リシュリューの意図は、ハプスブルク家およびカトリック連盟に対する牽制でしたが、逆にドイツ地域の政治情勢を複雑にし、彼の狙いは裏目に出てしまいました。

また、同盟に参加した国々の間でも確執が生じました。特にオランダは、八十年戦争の真っただ中にあり、新たに課せられた負担に苦しむ状況でした。リシュリューが帝国への共同介入を試みる中で、主導権を巡る争いが生じ、スウェーデンとデンマークの間に緊張が生まれました。イングランドがデンマーク王クリスチャン4世に主導権を委ねることを求めたものの、スウェーデン王グスタフ2世アドルフは拒否します。

このような内部の対立により、スウェーデンはすでに戦争中であったポーランドとの戦いに専念しなければならず。結局、同盟の有効性にも疑問が残る事態になりました。デンマークは1625年5月にプロテスタント側で三十年戦争に参戦し、これがデンマーク・ニーダーザクセン戦争の始まりとなるのです。

まとめ

対ハプスブルク同盟は、三十年戦争の中でフランスがハプスブルク家に対抗するために結成された重要な軍事同盟でしたが、期待された通りに機能しなかった面も多く見られました。特に内部の確執や同盟関係の変化が、戦争の進展や国際情勢にも大きな影響を与える結果となったのです。この同盟の成立は、リシュリューの外交政策の中でも特に重要な局面の一つといえるでしょう。

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