対審

対審について

対審（たいしん）とは、司法制度において対立する当事者が法廷に出向き、裁判官の前で自らの主張を展開する手続きのことを指します。この仕組みは、コモン・ロー（英米法）体系に起源を持ち、公開の場で行われる事実審理として他の法律体系にも広がりました。日本においては、日本国憲法第82条で「対審」が明記されており、これに基づいて民事訴訟法と刑事訴訟法の中で、それぞれ「口頭弁論」や「公判」として規定されています。

対審の基本的な構成要素

対審の基本的な考え方は、民事事件における当事者主義、または刑事事件における弾劾主義に支えられています。対審は双方が自らの主張を行い、それが裁判官によって評価されることを目的としています。これに対し、裁判官が自ら進んで事実を調べる手続き、すなわち民事の職権探知主義や刑事の糾問主義とは対照的です。なお、弁論準備手続きや準備手続きは対審には該当せず、それらは公開を伴わない手続きです。

コモン・ロー諸国における対審

特にアメリカ合衆国では、対審は重要な制度として機能しています。対審は陪審対審と裁判官対審の二種類に分かれ、刑事事件では予備審問や大陪審から起訴された事件がアレインメントに進んでいきます。被告が無罪を主張した場合に対審が行われることになりますが、アメリカでは多くの場合、司法取引が盛んであり、対審に至る事件はごく一部に限られます。

民事事件においても、訴訟が始まった後にディスカバリーや争点確認の手続きが行われ、しばしばその段階で和解が成立します。重要な事実に争いがないと判断された場合、当事者は裁判所にサマリー・ジャッジメントを請求でき、対審を経ずに結論を得ることが可能です。そのため、民事事件においても対審が行われるケースは限られています。

対審の手続き

対審の具体的な手続きでは、まず陪審員の選任が行われます。選任後、裁判官は陪審員に対して役割を説明し、次に双方の代理人が冒頭陳述を行います。この段階で、原告側から先に発表が行われるのが通常です。その後、証拠調べや証人尋問に移行し、証人が合法的に証言を行います。尋問のプロセスには主尋問、反対尋問があり、不適切な質問には即座に異議を申し立てる必要があります。

証拠調べが終わると、双方は最終弁論を行います。この段階で、裁判官は陪審に対する説明を行い、適用すべき法律や証明責任について指示をします。陪審はその後、評議を行い、評決に達します。評決が全員一致または特別多数決とならなければ、対審は無効とされやり直されることが一般的です。

裁判官対審

裁判官対審の場合、手続きはより簡略化されることが一般的であり、冒頭陳述や最終弁論を省略することが多いです。裁判官は提出された証拠に基づいて直接判決を下します。

対審の公開性

アメリカでは、刑事事件の対審は合衆国憲法修正第6条で公開が求められています。また、民事事件においても公開すべきとされています。ただし、連邦裁判所ではテレビカメラによる撮影は禁じられている一方で、多くの州で裁判の様子がカメラで撮影され生中継されることもあります。

以上の観点から、対審は司法制度における重要な機能を果たしており、当事者が法廷で真実を明らかにする場となっています。

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