対満事務局

対満事務局は、1932年の満洲国成立を受けて、日本政府が満洲国との行政を一元的に行うために1934年（昭和9年）12月26日に設置した官庁です。初代総裁には林銑十郎が就任しました。

概要

対満事務局は内閣総理大臣の管理下に置かれ、関東庁や拓務省が所管していた南満洲鉄道株式会社、満洲電信電話株式会社などの業務を監督する役割を担いました。また、拓務省が担当していた満州における拓殖事業関連の事務も引き継ぎました。

しかし、設立当初から陸軍が対満州政策の主導権を握ろうとし、関東軍と陸軍が対立しました。関東庁職員や満洲国警察署長が反発して辞職する事態も発生しました。実際には、歴代の総裁を陸軍大臣が兼任するなど、陸軍軍務局の下請機関のような状態でした。そのため、満州国に関する外交事務を所掌するために設置された外務省東亜局第三課は、その役割を十分に果たすことができませんでした。

対満事務局の庁舎は東京都大手町にありましたが、1940年（昭和15年）6月20日に逓信省航空局新館から発生した落雷による火災に巻き込まれ、他の省庁の庁舎とともに焼失しました。ただし、重要な書類の焼失は免れました。

1942年（昭和17年）11月、大東亜省の設置にともない、対満事務局は同省の満洲事務局に改組され、その役割を終えました。

歴代総裁

（兼）林銑十郎：1934年12月26日 - 1935年9月5日
（兼）川島義之：1935年9月5日 - 1936年3月9日
（兼）寺内寿一：1936年3月9日 - 1937年2月2日
（兼）中村孝太郎：1937年2月2日 - 1937年2月9日
（兼）杉山元：1937年2月9日 - 1938年6月3日
（兼）板垣征四郎：1938年6月3日 - 1939年8月30日
（兼）畑俊六：1939年8月30日 - 1940年7月22日
（兼）東條英機：1940年7月22日 - 1941年10月18日
* （兼）東條英機：1941年10月18日 - 1942年11月1日

※陸軍大臣が兼務していました。

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