対自核

ユーライア・ヒープ『対自核』解説

『対自核』（原題：Look at Yourself）は、イギリスのハードロックバンド、ユーライア・ヒープが1971年に発表した3枚目のスタジオ・アルバムです。前作『ソールズベリー』発表後、ドラマーの交代を経て制作され、バンドにとって初の全英チャート入りを記録するなど、大きな成功を収めました。

制作背景

前作リリース後、ドラマーのキース・ベイカーが脱退し、イアン・クラークが加入。アメリカ・ツアーを経て、1971年夏に本作のレコーディングが行われました。プロデューサーのジェリー・ブロンは、本作を「バンドが真の意味で強固な音楽的方向性を見出した時」と評しています。タイトル曲のエンディングには、オシビサのメンバーがパーカッションでゲスト参加し、独特のグルーヴ感を生み出しています。また、10分を超える大作「七月の朝」は、バンドが温めていた3つのCマイナーのメロディを組み合わせた意欲作です。

しかし、本作を最後にオリジナル・ベーシストのポール・ニュートンが脱退、後任のイアン・クラークもバンドを去ることになります。

楽曲について

アルバムは、タイトルトラック「対自核」で幕を開けます。ヘヴィなリフとドラマティックな展開が印象的なこの曲は、ユーライア・ヒープの代表曲の一つとして知られています。他にも、キャッチーなメロディが光る「自由への道」、プログレッシブな要素を取り入れた大作「七月の朝」、哀愁漂うバラード「瞳に光る涙」など、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。

評価と影響

本作はリリース当時から高い評価を受け、『レコード・ミラー』誌は「各メンバーの演奏は美しいが、誰一人としてやり過ぎてはおらず、その結果、ハーモニー・ロック界で最上のアルバムの一つとなった」と絶賛しました。オールミュージックのDonald A. Guariscoも、5点満点中4点を付け、「ユーライア・ヒープのアルバムの中でも、特に良質かつ一貫性のある作品の一つであり、1970年代のヘヴィメタルの中でも最高の瞬間である」と評しています。

Ultimate Classic Rockでは、「七月の朝」がユーライア・ヒープの楽曲トップ10の9位、「瞳に光る涙」が7位、「対自核」が1位に選ばれています。

収録曲

1. 対自核 - "Look at Yourself"
2. 自由への道 - "I Wanna Be Free"
3. 七月の朝 - "July Morning"
4. 瞳に光る涙 - "Tears in My Eyes"
5. 悲嘆のかげり - "Shadows of Grief"
6. 当為 - "What Should Be Done"
7. ラヴ・マシーン - "Love Machine"

カバー

「対自核」は、ザ・ピーナッツ、ガンマ・レイ、高見沢俊彦によってカバーされています。「七月の朝」は、西城秀樹、アクセル・ルディ・ペルなどがカバーしています。特に西城秀樹によるカバーは、後楽園球場でのライブで披露され、大きな話題となりました。

参加ミュージシャン

デヴィッド・バイロン - リード・ボーカル
ケン・ヘンズレー - オルガン、ピアノ、ギター、アコースティック・[[ギター]]、ボーカル
ミック・ボックス - リードギター、アコースティック・[[ギター]]
ポール・ニュートン - ベース
イアン・クラーク - ドラムス、パーカッション
Teddy Osei - [パーカッション]
Mac Tontoh - [パーカッション]
Loughty Lasisi Amao - [パーカッション]
* マンフレッド・マン - モーグ・シンセサイザー(on #3)

『対自核』は、ユーライア・ヒープの代表作としてだけでなく、1970年代のハードロックを代表するアルバムとしても高く評価されています。彼らの音楽性を確立した重要な作品であり、現在でも多くのファンに愛され続けています。

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