寿町 (高松市)

寿町（ことぶきちょう）は、香川県高松市の中心部に位置する町丁です。郵便番号は〒760-0023が割り当てられています。この地域は全域で住居表示に関する法律に基づく住居表示が実施されており、一丁目と二丁目から構成されています。

地理的に見ると、寿町は高松市役所から約0.8キロメートルと、まさに都心の一角を占めています。北は水城通りから南は兵庫町に至る中央通り沿いに沿って、南北に長く伸びる町域を持っています。中央通りは、四国経済を支える上で非常に重要な役割を担うオフィス街であり、特にJR高松駅に近い寿町エリアは、そのほとんどがオフィスビルによって占められている業務地区として機能しています。このため、ここに定住する住民（夜間人口）は極めて少ないのが特徴です。なお、同じ中央通り沿いであっても、法務局や裁判所などの公的機関が集まる場所は、寿町ではなく隣の丸の内という町丁に含まれます。

2010年の国勢調査データによると、寿町の人口はわずか17人（男性9人、女性8人）で、10世帯が暮らしていました。町全体の面積は4万6414.94平方メートルであり、人口密度は1平方キロメートルあたり366.3人でした。教育に関する校区は、公立の小学校が新番丁小学校、公立の中学校が紫雲中学校に、町域全体が指定されています。

都市計画の観点では、寿町の全域が商業地域に指定されています。建築物の容積率については、中央通りに面している部分では600パーセント、それ以外の部分では400パーセントが上限として定められています。

寿町の歴史を紐解くと、まず町名の由来に二つの説が見られます。町名自体は縁起の良い意味を持つ瑞祥地名とされていますが、その具体的な命名の経緯には諸説あります。一つ目の説は、かつて高松城の敷地であったこの地域が市街地として開発される際に、城跡の所有者であり開発用地を寄付した松平頼寿氏の名前から一文字を取って名付けられたというものです。もう一つの説は、昭和天皇の御大典を寿ぎ、高松市のさらなる発展を願って命名されたというものです。

町が現在の形に近い形で成立したのは1928年（昭和3年）のことで、これは当時の新湊町一丁目から四丁目の各一部を再編成して新設されました。この地域は、前年の1927年（昭和2年）に松平家から松平公益会へ寄付された土地を利用して造成されたものです。具体的には、高松城の桜の馬場の一部と、西の丸の約1万坪にも及ぶ広大な土地が市街地へと変貌を遂げ、後の高松市の中央通りとなる「記念道路」が開通しました。

しかし、寿町は太平洋戦争末期の被害を免れませんでした。1945年（昭和20年）7月4日未明には、アメリカ軍による大規模な無差別絨毯爆撃である「高松空襲」を受け、町域の大部分が焼き尽くされ、壊滅的な被害に見舞われました。終戦後、焼け跡となった記念道路沿いには、生活物資を扱う国際マーケットをはじめとする非公式な市場（いわゆる闇市）が立ち並び、復興期の混沌とした中にも活気を見せましたが、後に中央通りの拡幅工事が進められるにつれて、これらの闇市は撤去されていきました。

その後、町の境界線にもいくつかの変更が行われました。1958年（昭和33年）には、町域の一部が隣接する西内町や丸の内へ編入される一方で、新湊町一丁目から四丁目、玉藻町、西の丸町、内町、西内町のそれぞれ一部が新たに寿町に組み入れられました。さらに1969年（昭和44年）にも一部が玉藻町へ編入される調整があり、同時に西内町や丸の内の各一部が再び寿町の町域に加えられるといった変遷をたどりました。

このように、寿町は高松城の一部であった土地から、近代的な市街地として整備され、戦争による破壊と復興を経て、現在の高松都心部における主要な業務地区としての地位を確立してきました。その歴史は、高松市の都市構造の変遷と深く結びついています。

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