封禅国山碑

封禅国山碑について

封禅国山碑（ほうぜんこくざんひ）は、中国の三国時代において呉が建立した顕彰碑で、276年に建設されました。この碑は、当時の重要な歴史的背景を反映しており、特殊で独特な書風と内容が大きな特徴とされています。また、この碑は呉の最後の皇帝、孫晧の失政を後世に伝える貴重な史料となっています。

建碑の背景

封禅国山碑が建てられた時代背景は、蜀と魏がすでに滅亡し、呉と西晋が対峙する状況でした。呉の第4代皇帝孫晧は、臣下の粛清や無理な遷都によって国力を疲弊させ、内外の問題に直面していました。この頃、彼は神秘思想に傾倒し、周囲の奸臣たちが持ち込む瑞兆の報告に振り回されることとなります。

特に276年、孫晧は臨平湖の水流が復活したことや、「呉真皇帝」と刻まれた小石が発見されたことを神のお告げと受け取り、「呉が天下を統一する」という幻想を抱くようになります。このような状況の中で、彼は大赦や改元を行い、封禅の儀式を執り行うために支配下の臣下を派遣し、山を「国山」と改称しました。これが封禅国山碑の起源です。

碑文とその書風

この碑の碑文は篆書で刻まれており、篆書の持つ神聖な儀式としての権威を象徴しています。碑文は楕円形の石の表面全体に刻まれており、1行25字、行数は全部で43行にわたります。ただし、最初の部分が摩滅しているため、全体を読むことは難しいですが、ほぼ解読可能な状態です。

内容は呉の徳を称え、封禅のための3つの瑞兆について述べており、神秘的な色合いが強い文章です。書風は篆書でありながらも異様に線が太く、密接に配置されているため、圧迫感と威圧感を与えます。書者は呉の書家、蘇建とされており、一般的に認められた評価を受けています。

碑名の由来

封禅国山碑は、しばしば「禅国山碑」とも呼ばれます。これは碑文と『三国志』における表現の違いから生じています。碑文では「禅礼を行うべし」とあり、『三国志』では「国山に封禅す」と記されており、それぞれの表現を重視することによって異なる名称が使用されることとなります。現在では「封禅国山碑」が主流ですが、「禅国山碑」とされることも一部ではあります。

研究と評価

この碑は古くから知られていましたが、研究が活発になったのは清代以降で、特に天発神讖碑と共に取り上げられることが一般的でした。著名な研究としては、張騒の『国山碑考』があります。ただし、その書跡としての評価は純粋な篆書の基準からは及ばず、三国時代の貴重な書跡としての位置付けが強いです。

最後に、現在この封禅国山碑は江蘇省宜興市の国山に原石が残され、廟が整備されて大切に保管されています。この碑は、未来の世代に三国時代の重要な歴史的瞬間を伝える貴重な文化遺産として存在し続けています。

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