専当一心流

専當一心流について

専當一心流（せんとういっしんりゅう）は、柔術の伝統的な流派であり、1697年から1763年に生きた専當則安（せんとうそくあん）によって創設されました。この流派は、柔術の技術だけでなく、杖術も含まれています。長州藩で特に学ばれていたこの流派は、江戸時代から続く歴史を持ち、現在の兵庫県に少数の系統が伝承されています。

歴史

流祖である専當則安（当時の名は神谷勘解由）は、数多くの流派から修行を重ねてその奥義を極めた人物です。神谷は、柔術を学ぼうとする人々の中には、体力は充実しているものの努力が続かない人や、志を持つが体が弱い人が多く、結局は柔術を辞めてしまう人が多くいることに気づきました。このような現状を見て、彼は「当たり捕り」に重点を置くことを決意し、「表裏四十八箇条殺當捕形」を定めて専當一心流を立ち上げました。

流派名の由来は、次のように説明されています。「専當」は当たり捕りを主とするという意味で、「一身」は敵との対峙のための構えを指し、「一流」は当たり捕りの理を深め、他の思想に捉われることなくこの流派だけに専念することを意味します。江戸時代には、長州藩内で受け継がれ、大正時代以降には、高木流柔術第十六代の角野八平太がこの流派の免許皆伝を受け継ぎました。以降、兵庫県の高木流楊武館で伝承されています。

内容と技術

この流派では、柔術と杖術が学べるほか、48の型が伝授されています。また、死活（当身）や口伝の教えも含まれています。綿谷雪編の古武道文献集に記された伝書によると、他流には固め技である「詰手」が多く見られますが、専當一心流では当たり捕りが基本であるため、詰手には依存せず、限られた数の所作を用いることが推奨されています。さらに、当流では、敵を制圧した後に利害を詮議することはせず、必要な詰めがないため、当身をもって敵を制するとされています。

系譜

専當一心流の系譜は次のようになります:

• - 専當則安（神谷勘解由）
• - 武藤幸治道直
• - 林金右衛門政友
• - 田中光玄蕃道文
• - 沢村源左衛門
• - 曽禰文左衛門為春
• - 香原忠平治景美
• - 河村右源太古頼
• - 蔵田左中頼道
• - 渡辺彦治郎道春
• - 角野八平太正義
• - 筒井友太郎義尚
• - 楠原孝弘重義

このように、専當一心流は深い歴史と伝統を持った流派であり、現代においてもその技術は受け継がれています。

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