当身

当身技について

当身（あてみ）または当身技（あてみわざ）は、日本の古武術や武道において急所を突いたり殴ったりする技術の総称です。この技術は、特に柔道をはじめとする柔術の中でよく見られます。さまざまな流派においては、当身は「中身（あてみ）」や「殺法」、「勝身術」と呼ばれることもあります。また、時代劇などでは、急所や腹部に攻撃を加え、相手を気絶させる技のことも当身とされています。

当身技と柔術

柔術の型の中には、多くの当身技が含まれています。各急所への攻撃の仕方やタイミング、効果については、通常は別の教えとして伝承され、活法や整骨法と同じく重要視されています。柔術が現代において「柔」という言葉が使われるため、当身が少ないと誤解されがちですが、多くの流派では十分に重要な技術として扱われています。例えば、合気道や天神明進流では、「当身7分に技（投げ）3分」と表現し、当身を大切にしています。

当身に関する流派

現在も残る古[[武道]]の中には、柳生心眼流や諸賞流、さらには高木流などがあり、それぞれが当身を中心とした稽古を行っています。特に、高木流では剣道の竹胴を身に着け、肘打ちや手刀打ち、蹴りを使った訓練を実施しています。ただし、当身技は危険が伴うため、乱取りや試合では一般的に禁止されていることが多いという点も注目です。

当身の技術的な面

当身で用いる部位は、多岐にわたります。具体的には、額や頭頂部、後頭部、肩、肘、手、尻、腰、膝、足、踵などです。また、刃物以外の道具を使って急所に当てる行為も当身に含まれます。

殺法について

流派によっては、当身を「殺法」と呼び、拳や膝、足、手刀などを用いて急所に対し打撃、衝突、圧迫を行い、敵を気絶させたり命を奪う技術とされています。これは多くの流派で型の終了後に、口伝で伝えられますが、いくつかの流派では学生の早い段階から学んでいます。

近代の研究と鍛錬法

明治時代に入ると、殺法に関する研究が進み、明治16年には東京都立大学の医学博士が柔術の殺法が人体に与える影響を調査しました。この調査により、急所とその当て方、さらに蘇生法としての活法についても体系的に研究が進みました。特に、急所の位置や効果的な当て方は、修行が進んだ者にのみ伝えられることが多いです。

当身鍛錬法

当身技の鍛錬法は流派によって異なりますが、例としては、障害物に当身を行ったり防具を用いての実践などが挙げられます。高い位置を蹴る訓練や、特殊な道具を用いたトレーニングも継承されています。これらの鍛錬を通じて、技術の熟達が目指されます。

合気道における当身

合気道では、当身を用いることがありますが、その目的は相手に対して肉体的な損傷を与えることではありません。主に相手の動きを妨害したり、急所を防御させるよう誘導したりするために用います。合気道では試合形式の乱取りを行いませんが、その背景には急所への攻撃による危険があるためです。

当身と日本の伝統的武器

また、武器を使った当身技も存在します。日本の伝統的武術においては、刃物以外の武器（棒や十手、隠し武器など）を使って急所に施す攻撃も当身と見なされています。

ゲームにおける「当身」

興味深いことに、近年の対戦ゲームでは「当身」という言葉が便利に誤用されることが多く、相手の攻撃を受け止めて反撃する技術を指すことが一般化しました。これにより、「当身」はゲーム用語としても新たな定義を持つに至りました。

以上のように当身技は、古代から現代に至るまでさまざまな流派で磨かれ、伝承されている日本の武道の重要な技術です。

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