専称寺 (柏崎市)

専称寺について

専称寺（せんしょうじ）は、新潟県柏崎市に所在する時宗の寺院です。この寺院は、1293年（永仁元年）に時宗の僧侶である他阿真教によって開山されました。他阿が越後国を遊行した際、この地に寺院を建立したことが始まりとされています。

歴史

開山以来、専称寺は越後北条氏の菩提寺として、地域の人々から深く崇敬されてきました。越後北条氏は、この寺を心の拠り所とし、手厚く保護しました。しかし、戦国時代の1578年（天正6年）に勃発した御館の乱において、越後北条氏は上杉景虎側につき、上杉景勝軍に敗北。当主であった北条高広は領地を捨てて逃亡し、子の景広は戦死するという悲劇に見舞われました。

主を失った北条城は、最終的に開城せざるを得ない状況となりましたが、この開城交渉において、専称寺の住職が重要な役割を果たしました。寺院の住職が仲介に入ったことで、城は無血開城に至ったと伝えられています。

文化財

専称寺には、歴史的に貴重な文化財が数多く所蔵されています。以下はその主なものです。

専称寺牡丹文彫髹漆前机（柏崎市指定文化財、昭和48年8月1日指定）：牡丹の文様が彫刻された漆塗りの前机で、その美術的価値が高く評価されています。
専称寺竹双雀文蒔絵文台・硯筥（柏崎市指定文化財、昭和48年8月1日指定）：竹と雀の文様が蒔絵で施された文台と硯箱のセットで、繊細な技術が光ります。
専称寺一遍上人絵詞伝（柏崎市指定文化財、昭和48年12月1日指定）：一遍上人の生涯を描いた絵詞伝であり、当時の文化や信仰を知る上で重要な資料です。

これらの文化財は、専称寺の歴史と文化を物語る上で欠かせない存在であり、現在も大切に保存されています。

交通アクセス

専称寺へは、JR信越本線の安田駅から徒歩で約30分の距離です。公共交通機関を利用して訪れることができます。

参考文献

新潟県の歴史散歩編集委員会 編『新潟県の歴史散歩（歴史散歩15）』山川出版社、2009年

専称寺は、その長い歴史の中で、地域の信仰の中心として、また文化財の保護者として重要な役割を果たしてきました。今日においても、その静かで荘厳な佇まいは、訪れる人々に安らぎを与えています。この寺院は、歴史と文化に触れることができる貴重な場所であり、柏崎市を訪れる際にはぜひ立ち寄ってみることをお勧めします。

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