将棋天国社

青森県おいらせ町に本社を置く将棋天国社は、将棋に関する書籍を専門に出版する出版社です。同社の代表を務める中戸俊洋氏は、日本将棋連盟の棋道師範の資格も保有する、将棋界において多大な貢献を果たしてきた人物です。

将棋天国社の起源は、中戸氏が設立した上北支部（現百石支部）の機関誌『あおもり県南』にあります。その後、『将棋あおもり』を経て『将棋天国』へと発展し、発行部数を伸ばし全国区へと成長を遂げました。

同社が出版する書籍は、プロ棋士による著作も存在しますが、特徴的なのは、アマチュアの将棋愛好家による作品が多数を占めている点です。例えば、『横歩取りは生きている』など、一般愛好家の視点を取り入れた書籍は、プロの技術書とは一味違った魅力を提供し、多くの読者から支持を得ています。これらの書籍は、高い専門性を保ちつつも、初心者から熟練者まで幅広い層が楽しめる内容となっています。

中戸氏によると、将棋天国社はかつて日本将棋連盟と、棋譜利用に関する紛争を起こしたことがありました。この際、大山康晴十五世名人（当時）が同社を擁護する形で仲介に入り、この出来事をきっかけに、中戸氏と大山十五世名人の親交が深まりました。

この大山十五世名人との交流が、おいらせ町における将棋を軸とした町おこしへと繋がったとされています。大山十五世名人の偉業を称え、将棋を町おこしの核とすることで、おいらせ町は将棋の町としての知名度を高め、地域経済の活性化にも貢献しました。将棋を通じた文化振興と地域活性化という、二つの側面から、将棋天国社は大きな役割を果たしています。

将棋天国社の功績は、数々の賞の受賞にも表れています。1998年には中戸俊洋氏が日本将棋連盟より第5回大山康晴賞を受賞。2002年には、おいらせ町（当時百石町）が第9回大山康晴賞を受賞しました。これらの受賞は、将棋天国社とおいらせ町の将棋を通じた取り組みが、広く社会的に認められた証と言えるでしょう。

現在も将棋天国社は、将棋文化の発展と地域活性化に貢献すべく、精力的に活動しています。将棋愛好家にとって、なくてはならない存在と言えるでしょう。

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