尋常性痤瘡

尋常性痤瘡（じんじょうせいざそう）とは

尋常性痤瘡、英語ではacne vulgarisと呼ばれるこの皮膚疾患は、特に青春期を迎えた若者に多く見られ、主に顔、背中、胸の中央に炎症性の吹き出物が現れます。日本では90%以上の人がこの状態を経験すると言われています。一般的には、顔にできるものを「にきび」と呼び、その他の部位のものを「吹き出物」や単に「ざそう」と表現します。

症状と分類

尋常性痤瘡は、非炎症性ざ瘡と炎症性ざ瘡に大きく分けられます。具体的には以下の種類があります：

• - 白ニキビ：毛穴が皮脂で詰まり、表面が膜で覆われている状態。
• - 黒ニキビ：詰まった皮脂が酸化して黒っぽく変色。
• - 赤ニキビ：炎症が見られ、白血球が集まり、膿がたまることもある。

このように、発疹は毛包に角質や皮脂が詰まることによって生じます。また、炎症が進行すると、膿瘍や瘢痕が残ることもあります。

原因とメカニズム

尋常性痤瘡の発症メカニズムについては、内分泌障害、遺伝要因、精神的要因など、さまざまな要素が考えられています。特に、男性ホルモンであるテストステロンが皮脂腺の働きを活発にし、結果的ににきびの発症を助長することが知られています。近年の研究では、食生活、特に乳製品の摂取とにきびの関連性も指摘されています。

治療法

治療の選択肢は時間と共に増えており、1990年代までの主な治療法であった抗生物質の内服に加え、2008年にレチノイド（ビタミンA誘導体）の一種であるアダパレンが新たに承認され、炎症の前段階から対処可能になりました。アメリカのガイドラインでは、抗生物質と過酸化ベンゾイルを併用することが強く推奨されています。

また、皮膚の保湿も重要で、特に炎症を和らげるクリームやジェルが役立つとされています。ティーツリー携配合の製品や、紅茶成分を含む化粧水も効果的だとされています。

食生活と関連性

近年の研究から、食生活が尋常性痤瘡に多大な影響を及ぼすことが示されています。特に、牛乳や高グリセミック食品の摂取が、皮脂分泌を増加させ、にきびの発生を招く要因とされています。ハーバード大学での調査によると、無脂肪乳や低脂肪乳の摂取がにきびの症状を悪化させているとのデータも得られています。

健康維持と予防策

健康的な生活を心掛けることが重要です。過剰な皮脂分泌を抑えるために、脂肪分の多い食品を控え、バランスの取れた食事を心掛けることか、また、定期的な洗顔による清潔保持も有効です。ただし、過剰な洗浄は逆効果になるため低刺激の製品を選びましょう。

社会的影響

尋常性痤瘡は、単なる美容上の問題だけでなく、心理社会的影響も大きいとされています。特に思春期の若者にとって、見た目のコンプレックスや自信の喪失は、大きな問題です。治療には病院での診療や有効な医薬品を利用することが求められます。

このように、尋常性痤瘡は多面的な要因から成る皮膚疾患ですが、正しい知識と適切なケアで病状を改善することが可能です。

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