小作制度

小作制度とは

小作制度とは、農民が自ら土地を所有せず、地主から土地を借りて農作物を生産する制度です。土地を持たない農民は、土地の所有者や占有者から耕作する権利を得て、その対価として小作料を支払います。この制度は、土地の所有形態や使用権の性質によって、さまざまな形をとります。

小作制度の分類

小作制度は、いくつかの観点から分類できます。

直接小作と間接小作

直接小作: 小作人が直接地主に小作料を支払う形式です。
間接小作: 地主と小作人の間に、仲介者（中間小作人やブローカーなど）が入る形式です。間接小作は、又小作、仲小作、鍬先小作、底地小作などと呼ばれることもあります。

定額小作と不定額小作

定額小作: 小作料が一定額で定められている形式です。年期小作（普通小作）、永小作、又小作などがこれに属します。
不定額小作: 小作料が収穫量に応じて変動する形式です。分益小作（刈分小作）がこれに属します。

各小作制度の詳細

定額小作

年期小作（普通小作）: 小作契約期間が定められている小作形態です。
永小作: 小作契約期間が定められていない小作形態です。
又小作: 間接小作に分類される小作形態です。

不定額小作

分益小作（刈分小作）: 収穫量に応じて小作料が変動する小作形態で、一定の収穫基準をもとに、豊作の場合は小作料が増え、不作の場合は小作料が減額されます。

小作制度の歴史

小作制度は、古代ローマ時代や南米など、世界各地で見られた歴史的な制度です。日本では、特に明治時代以降にその影響が大きくなりました。

小作争議

小作制度の下では、小作料の額やその他の条件をめぐって、小作人と地主の間で対立が起こることがありました。特に第一次世界大戦後の経済恐慌をきっかけに、小作争議が激増しました。大正末期に一時的に減少したものの、昭和恐慌の頃から再び増加しました。戦時体制下では争議は衰退しました。

小作調停法

小作争議に対処するため、1924年に小作調停法が公布・施行されました。この法律は、小作争議の当事者の申し立てにより、裁判所が調停を行う制度を設けました。調停が成立し、裁判所がそれを認可した場合には、調停条項の不履行に対して強制執行を行うことができました。小作調停法は、1951年に民事調停法の成立によって廃止されました。


小作制度は、土地を持たない農民にとって、生活の糧を得るための重要な手段でしたが、同時に地主との間に不平等な関係を生み出す要因ともなりました。小作争議は、こうした不平等に対する農民の抵抗の表れであり、社会変革を求める大きな力となりました。

もう一度検索