小倉襄二

小倉 襄二

日本の社会政策学者、小倉 襄二（おぐら じょうじ）は、1926年（大正15年）10月1日に生まれ、2014年（平成26年）12月7日に逝去した。同志社大学名誉教授であり、社会問題、社会保障論、社会福祉体系、そして特に公的扶助論を専門分野とした。また、日本社会福祉学会の理事を務めた経歴も持つ。

生涯と学歴・職歴

小倉襄二は京都府京都市で生まれた。同志社大学を卒業後、同大学文学部社会学科の助教授に就任し、教育者としてのキャリアをスタートさせた。その後、教授へと昇進し、同学部の文学部長も務めた。1997年に同志社大学を定年により退職し、名誉教授の称号を得た。大学を離れた後も教育・研究活動は続けられ、新島学園女子短期大学の学長を務めたほか、2001年からは大阪人間科学大学で特任教授として教鞭を執った。

研究分野と主な業績

小倉の研究は、社会が抱える問題、特に貧困や格差といったテーマに深く根差し、それらに対する社会保障や社会福祉の役割を追求した。公的扶助制度はその研究の中心の一つであり、その意義や課題について理論的な考察を行った。社会保障や社会福祉制度の全体像についても、その体系や歴史的発展を踏まえながら、現代社会におけるそのあり方を問い続けた。

その研究成果は、多岐にわたる著作として発表されている。単著としては、公的扶助に焦点を当てた初期の代表作『公的扶助 貧乏とその対策』（1962年）をはじめ、『社会保障と社会問題』（1968年）、『社会保障と人権』（1970年）、『老後保障の構図 あなたもいつかは老人になる』（1971年）などがある。また、市民の立場からの福祉を論じた『市民福祉の設計』（1976年）や『市民福祉の政策と思想 参加と計画』（1983年）、社会問題研究からの視点を示した『福祉の深層 社会問題研究からのメッセージ』（1996年）などを刊行した。晩年には、『右翼と福祉 異形の"底辺にむかう志"と福祉現況へのメッセージ』（2007年）や、戦後の社会福祉状況を論じた『流域-社会福祉と生活設計 戦後福祉状況をめぐる断章』（2010年）といった著作も発表している。

共編著も数多く手掛けており、他の研究者と共同で学生社会運動史に関する著作（1953年）を二冊刊行したほか、角田豊氏との共編による『現代の社会保障』（1968年）、『現代社会保障小事典』（1974年）、『社会保障基本資料集』（1974年）など、社会保障に関する基礎的な著作を多く世に送り出した。また、社会福祉の基礎知識、人権・差別問題、婦人の生涯と社会保障、地域のくらしと社会保障、貧困・生活不安と社会保障、生活・社会保障と自治体、老後保障システム論、老後保障を学ぶ人のために、EU世界など、広範なテーマで共編著を刊行しており、研究領域の多様性と共同研究への積極的な姿勢がうかがえる。

晩年

小倉襄二は、慢性腎不全を患い、2014年12月7日に88歳でその生涯を閉じた。

長年にわたり、社会政策学、特に社会保障および社会福祉の研究教育に尽力し、日本の福祉社会の発展に貢献した功績は大きい。

もう一度検索