小倉陸軍造兵廠糸口山製作所

小倉陸軍造兵廠糸口山製作所

小倉陸軍造兵廠糸口山製作所（こくらりくぐんぞうへいしょういとぐちやませいさくじょ）は、旧日本陸軍の兵器工廠として1944年に大分県宇佐郡横山村に設立されました。所長には陸軍少将の銅金義一が就任しました。この製作所は、北九州市に位置していた旧小倉陸軍造兵廠が空襲を受けたことを受け、移転先として選ばれた地点であり、1944年9月から活動を開始しました。

糸口山製作所は960,000平方メートルの広大な敷地に機関砲製造を行うための工場や倉庫、事務所が分散配置されていました。1944年の時点での床面積は32,000平方メートルですが、1945年には64,000平方メートルに拡張され、工員や動員された学徒を含めて約1万人が働いていました。そのうち約3,900人は女子挺身隊員などの女性でした。しかし、1945年の敗戦によってこの製作所は1年も持たずに稼働を停止しました。

当時の関係者は、製作所に関する記憶があまり残っていないことを不思議に思っており、特に高い煙突や鉄道の引き込み線が存在しながらも、一度も爆撃を受けなかったことを驚きとして語っています。一方で、近隣にあった宇佐海軍航空隊は大きな被害を受けていました。

糸口山製作所についての資料は当初非常に少なく、その実態が詳しく知られていませんでしたが、2010年になって豊の国宇佐市塾のメンバーが旧関係者への聞き取りを行い、米軍が戦後に撮影した航空写真や当時の地図を用いて調査を進めた結果、製作所の配置や規模、工員数などの詳細が明らかになりました。また、当時使用されていた工作機械や工具が約10点見つかり、これらは地元の元高校教諭によって保管され、宇佐市に寄贈されることとなりました。

歴代の所長には、銅金義一少将の後を継いだ後藤光孝大佐が1944年12月21日から就任し、その任期を務めました。これまでの歴史を振り返ることで、糸口山製作所の存在は戦時中の日本における兵器生産の重要な側面を示していますが、戦後の資料不足のため、その全容を解明する道のりは依然として続いています。

参考文献

• - 外山操、森松俊夫 編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。

関連項目

• - 小倉陸軍造兵廠

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