小児初期救急センター

小児初期救急センターとは

小児初期救急センターは、深刻な状況にある小児救急医療を維持するために、地域における小児科医を集約し、初期救急医療を提供する施設です。主に夜間や休日における子どもの急な病気に対応しており、地域によっては「広域こども急病センター」などの名称で呼ばれることもあります。

概要

小児初期救急センターは、主に内科系の疾患に対応しており、怪我や誤飲といった外科系の疾患には対応していない場合が多いです。施設は、おおむね二次医療圏ごとに一つ設置されるように整備が進められています。これは、地域における小児救急医療の提供体制を強化し、患者が適切な医療を受けられるようにするための取り組みです。

実例

日本で初めての小児初期救急センターである「豊能広域こども急病センター」は、2003年に開設されました。この施設ができた背景には、二次救急対応医療機関が比較的多い地域でも、小児救急が十分に機能していなかったという問題がありました。同センターの設立は、小児初期救急を集約することが、二次病院の数に関わらず有効であることを示す実例となり、全国での施設整備を促進するきっかけとなりました。

より重症な小児救急患者に対応するため、三次救急医療機関として小児救命救急センターの整備も進められています。

診療の様子

小児初期救急センターでの診療は、通常の休日診療所と大きな違いはありません。しかし、医師は小児科医であることが多く、専門的な知識に基づいた診療を受けることができます。診療の結果、重症と判断された場合は、当番の二次救急病院へ患者が搬送されます。センターには、必要な検査機器が揃っており、様々な検査が可能ですが、入院はできません。また、救急医療機関であるため、原則として処方される薬は1日分のみで、翌日にはかかりつけ医を受診するように勧められます。

救急車の受け入れも可能ですが、明らかに初期救急の適用範囲内である場合に限られます。また、医師の判断で後送が必要ないと判断されるまで、救急隊が待機する場合もあります。多くの施設ではトリアージ制が導入されており、受付順ではなく、重症度によって診療の順番が決まります。これは救急車で搬送された場合も同様です。

スタッフ

小児初期救急センターのスタッフは、医師会に所属する開業医や大学病院などの医療機関に所属する医師が交代で勤務しています。看護師は専任の場合と、他の医療機関から派遣される場合があります。薬剤師は、薬剤師会から派遣されることが多いです。

主な施設

以下に主な小児初期救急センターの例を挙げます。

豊能広域こども急病センター
阪神北広域こども急病センター
神戸こども初期急病センター
子ども初期救急診療所 (世田谷区医師会)
泉州北部小児初期救急広域センター
富士・東部小児初期救急医療センター
中津市立小児救急センター

まとめ

小児初期救急センターは、地域の子どもたちの急な病気に対応するための重要な医療機関です。夜間や休日に子どもの体調が悪くなった場合は、まずこれらの施設への相談を検討してみましょう。ただし、重症の場合は、二次救急や三次救急医療機関への搬送が必要になることもあります。

参考文献

豊能広域こども急病センターホームページ http://www.toyono-kodomo.jp/
豊能広域こども急病センター広報誌
豊能広域こども急病センター10周年記念誌
阪神北広域こども急病センターホームページ http://www.hanshink-kodomoqq.jp/
中津市立小児救急センター https://www.city-nakatsu.jp/hospital/info/info2017/pdf/tpc_20170207.pdf

関連項目

救急医療
小児科学

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