小出氏

小出氏の歴史

小出氏（こいでし）は、日本の歴史における武家および華族の一つであり、その起源は安土桃山時代に遡ります。特に、豊臣秀吉によって近世大名として取り立てられ、江戸時代には丹波国園部藩の藩主家として名を馳せ、明治維新を経て華族の子爵家となりました。

出自と血筋

小出氏は、歴史的には藤原南家二階堂氏の流れを汲むとされています。その本拠地は信濃国の伊那郡、小井弖郷（現在の小出郷）とされ、古文書『吾妻鏡』の記録によれば、寛喜元年（1229年）に小井弖太郎兵衛尉や小井弖五郎が幕府の儀式で馬を曳く役割を果たしたことが明記されています。更に、嘉禎年（1236年）には小井弖左衛門尉も同様の役割を務めており、彼は後に何度も記録に登場します。

小出氏の系図は、鈴木真年編の『百家系図稿』により、異なる系流の記述も見られるため、明確な系譜は定まっていません。特に、小出秀政が豊臣秀吉の母の妹の夫であったことが波及し、彼自身が大名としての地位を得るきっかけとなる重要な要素です。

大名としての小出氏

豊臣政権のもと、大名としての地位を確立した小出氏は、天正13年（1585年）に秀政が和泉国岸和田城で3万石の領地を受け継ぐことから始まります。同じく天正18年（1590年）にはその息子吉政が播磨国龍野城に2万石を賜り、さらには文禄4年（1595年）には但馬国出石城で6万石に転封されるなど、急成長を遂げました。

関ヶ原の戦いでは、小出氏は西軍に属しながらも、秀政の次男である秀家は東軍に参加したため、改易を免れました。以降も江戸時代を通じて大名として存続し、秀政の領地は子孫に受け継がれていきました。

慶長18年（1613年）には、家系が次第に分かれ、吉英が岸和田5万石、吉親が出石2万7000石を受け継ぎます。しかし、元禄9年（1696年）には岸和田藩が無嗣で改易され、出石藩は丹波国園部藩に移封されるという波乱の歴史をたどります。その後の小出家は、廃藩置県まで園部藩主家として存続を果たしました。

明治以降の転機

明治維新後、小出氏は1869年6月に華族制度のもとで大名家として扱われ、1884年には華族令の施行により子爵に列せられました。この際、当主の秀延は大正天皇の幼少期の相手を務めるなど貴族としての活動を続けました。

家紋と系譜

小出氏の家紋は、本家が「丸に額」や「丸に堅額」を用い、分家では「額に二八文字」を使っていました。また、替紋として「亀甲に小の字」というデザインも見られました。

系譜については、これまで数多くの研究がなされており、太字が当主、実線が実子、点線が養子を示す形で記載されています。

このように小出氏は、日本の歴史の中で多くの変遷を経て続いている家系であり、その華族としての地位も色濃く残されています。

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