小出重興

小出 重興：和泉陶器藩の最後の藩主

小出重興（こいで しげおき）は和泉陶器藩の第4代目、すなわち最後の藩主として知られています。彼は陶器藩の小出家の5代目にあたります。重興は寛文3年（1663年）に、第3代藩主である小出有重の次男として誕生しました。重興の生涯は、藩政、家族、そして彼自身の運命が深く絡み合ったものでした。

重興は元禄6年（1693年）8月3日に父の有重が亡くなったことを受けて、藩主の職に就きました。しかし、彼の在任期間は非常に短く、わずか数年でした。元禄9年（1696年）2月26日には南部幕子との結婚を果たしますが、その直後の4月9日、彼自身が病に倒れ、わずか34年の生涯を全うすることなくこの世を去ってしまうのです。

重興の死去に際して、彼の後継ぎが不在であることが藩の未来に大きな影響を及ぼしました。重興は自身に実子が存在しなかったため、死に際して弟の重昌を養子として迎え入れました。しかし、残念なことに重昌もまた病に倒れ、わずか16歳という若さで6月13日に息を引き取ることになります。御目見を果たすことなく、17歳に満たないままの死去となったため、小出家は大きな試練に直面しました。

このように、重興と重昌の短命な運命は、和泉陶器藩の歴史において深い悲劇として記録されることとなりました。重興の死後、元禄9年（1696年）8月12日、陶器小出家は無嗣子を理由に改易となり、その歴史に幕を閉じました。藩の繁栄を支えた家系がこのように途絶えたことは、地域にとっても深刻な事態でした。

重興の生涯は、当時の藩主としてやるべきことが多くあったにもかかわらず、運命に翻弄される形となりました。彼の在任期間は短かったものの、藩主としての責任を果たすことはできなかっただけでなく、家族の不幸がさらにその悲劇を強調します。特に、彼の養子重昌の死は、重興の求めていた継承者が現れなかったことを意味し、藩の未来を暗いものにしました。

和泉陶器藩は、重興の死去とともに終焉を迎えたといえるでしょう。この藩は、小出家にとっては誇りであり誓いでもありましたが、歴史の波に呑まれた運命によって、その存在が消え去ることとなりました。藩主としての短い期間と、悲劇的な結末が、重興の名前に志して時代に記憶される一因でもあります。

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