御目見

御目見（おめみえ）とは

江戸時代における御目見（おめみえ）とは、武士が将軍と直接対面することを指し、そのための特定の資格を持つことが求められました。この儀式は「上聴」とも表現され、幕府における重要な慣例の一つとして位置づけられていました。

武士階級の区別

江戸時代の武士階級には、藩主に対してお目見えする資格を持つ「上士」と、そうでない「下士」が存在しました。「上士」として知られる侍たちは、一般的に武士として認められた人々であり、逆に「下士」は騎乗資格を持たないことから「徒歩」とも呼ばれました。このように、社会的立場や権利の違いが明確に分けられていました。

旗本と御家人

幕府内では、徳川家の家臣の中で石高一万石未満の者たちを「旗本」と呼びます。旗本は、将軍の出御する儀式に参加する資格を持っていました。一方、「御家人」は、土俸の形で給与を受け取る者たちであり、社会においてはより低い地位にありました。

また、旗本は小規模であっても知行地を持つ一領主として扱われ、庶民からは「殿様」と呼ばれることがありました。御家人は、俸給が切米によるため「旦那様」とも称されました。このような階級の違いが、家臣団内の構造を形成していました。

御目見の意味

御目見は、社会的な儀式としても極めて重要視されていました。武士が成人の嫡子として家督を継ぐ際には、この儀式を経ることが必要でした。もし御目見を行わない場合、たとえ成人の嫡子がいても家督相続者として認められないことがあったため、この儀式の重要性が強調されます。

柳営秘鑑の記載

江戸時代の注釈書『柳営秘鑑』には、さまざまな格式や儀礼に関する記述が見られます。そこには、大名や武士たちが参上する際の詳細や、御目見の儀式がどのように行われるかに関する具体的な情報が含まれています。この書物は、江戸幕府の儀礼や形式に深く関わる貴重な資料として評価されています。

まとめ

御目見は、江戸時代の武士社会における重要な要素であり、武士の地位や家督相続に深く結びついていました。将軍との直接の対面は、単なる儀式以上の意味を持ち、武士たちの社会的関係や権力構造を反映しています。このように、御目見は江戸時代における重要な文化的・社会的側面を理解するための鍵となる概念です。また、御目見の儀式を通じて、武士たちは体制への帰属意識を高め、その地位を確立していったのです。

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