小協商

小協商について

小協商（しょうきょうしょう、英語：Little Entente）は、第一次世界大戦後の混乱するヨーロッパにおいて、チェコスロバキア、ユーゴスラビア王国、ルーマニア王国の3つの国々が結成した同盟を指します。この同盟は、1920年代初頭の国際情勢の中で、自国の安全保障を強化する目的で形成されました。

背景

第一次世界大戦に勝利した連合国によって、敗戦国オーストリア＝ハンガリー帝国は解体され、その領土は各国に分割されました。このプロセスにおいて、チェコスロバキアとルーマニアは、旧ハンガリー領のスロバキアとトランシルヴァニアを獲得することに成功しました。これらの領域は、トリアノン条約によって正式にその帰属が確認されましたが、同時に残されたハンガリー王国が復活する可能性が広がりました。

1920年3月のハンガリー王国の設立やオーストリア共和国の動向により、再びハンガリーが失地を回復しようとする兆しが見え始め、チェコスロバキアとユーゴスラビアの間で相互援助を確保するための条約が締結されることになりました。この協定が不安な状況の中でどのように形成されていったのか、その経緯を見てみましょう。

小協商の成立

1920年4月、チェコスロバキアとユーゴスラビアの間で相互援助条約が結ばれ、この動きは今後の展開に大きな影響を与えました。続いて1921年4月にはチェコスロバキアとルーマニアの間で条約が締結され、さらに6月にはルーマニアとユーゴスラビアの間でも同様の合意がなされ、これによって小協商が正式に成立します。この3つの国々は、互いに協力し、ハンガリーの復活を警戒しながら地域の安定を図ることとなりました。

フランスとの関係

フランス政府は、ドイツの再興を警戒し、小協商に接近しました。小協商を通じてドイツを挟撃し、地域の安全保障を強化する戦略が立案されました。これにより、フランスはこの新たな同盟国との関係を深め、戦後の安定した秩序の構築に寄与しました。

カール1世の復帰運動と小協商の対応

1921年10月、オーストリア＝ハンガリー帝国でのカール1世の復帰運動が活発化します。彼がブダペストに復帰しようとしたことで、小協商の国々は急遽ハンガリー国境に軍を集中させ、介入の姿勢を示しました。この強硬策により、カール1世の復帰は失敗に終わり、結果としてハプスブルク帝国の復活も阻止されたのです。

終わりに

小協商は、戦間期の不安定な国際情勢を背景に成立した同盟であり、その目的は地域の安全保障を維持することでした。しかし、時代が進むにつれてその存在意義や機能も変化していき、最終的には国際政治の流れに沿って変容していくことになります。

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