小原宿

小原宿の歴史と特徴

小原宿（おばらじゅく）は、甲州街道に位置する宿場町で、現在の神奈川県相模原市緑区小原に相当します。この宿場は全長約270メートルの短い町ですが、難所である小仏峠の甲府側に設けられており、そのために多くの人々に利用されてきました。

宿場町の役割

小原宿は、江戸と甲府を結ぶ重要な通り道にありました。特に、江戸や小仏方面から旅立つ人や荷物は、この宿場から西隣の与瀬宿へと向かい、さらに2つ先の吉野宿へと進む形で利用されました。一方、信州や甲府方面からの旅人はまず与瀬宿に立ち寄り、その後に小原宿を経由して小仏宿へと向かうことになります。つまり、小原宿は江戸方面から甲府方面へ向かう旅路の中で、重要な中継地点となっていたのです。

本陣の役割と特徴

小原宿の中心には清水家の建物が本陣として用いられており、この本陣にはいくつかの大名や役人が宿泊していました。例えば、信州諏訪藩、高遠藩、そして飯田藩の大名たちがここを訪れ、さらに甲府の勤番の役人も宿泊していました。そのため、部下や家来たちは脇本陣や別の旅籠に宿泊する必要がありました。本陣周辺には、7軒の旅籠が立ち並び、一般の旅人だけでなく、身延山や富士山を訪れる参拝客もこの宿を利用することがありました。

史跡としての重要性

小原宿本陣は、神奈川県内に現存する宿場町の中でも特に貴重な建物であり、1996年に神奈川県の重要文化財に指定されました。この本陣は、東海道と甲州街道を合わせて、当時残っていた26軒の宿場の中で唯一のものです。また、本陣の前には高札場が復元されています。

毎年11月3日には「小原宿本陣祭」が開催され、大名行列や茶会、大道芸などのイベントが催されることで、多くの人々に親しまれています。

建物の構造と管理

この本陣は、19世紀初期に建てられたとされ、4層の兜造りで入母屋風の設計です。その大きな規模は、間口13間、奥行き7間で、95坪にも及びます。部屋数も多く、15畳が2間、12.5畳が1間、8畳が3間、6畳が3間、4畳が3間、2畳が1間と、多様な宿泊客に対応していたことがわかります。現在、この本陣は相模原市によって整備され、管理されています。

アクセスと関連施設

本陣の近くには「小原の郷」という施設があり、小原宿や相模湖地域の歴史について学ぶことができる古文書などの資料が展示されています。また、休憩所としても利用されており、訪れる人々にとって魅力的なスポットと言えるでしょう。

定休日と開館時間

小原宿本陣は、毎週月曜日と年末年始が休館日で、開館時間は午前9時半から午後4時までとなっています。訪れる際には、これらの情報を確認することをおすすめします。

結論

小原宿はその歴史的価値から、単なる宿場町以上の魅力を持っています。訪れることで、過去の旅人たちの足跡を辿り、当時の文化や生活に触れることができる貴重な体験ができるでしょう。

もう一度検索