甲州街道

甲州街道について

甲州街道（こうしゅうかいどう）は、江戸から甲府を結ぶ重要な交通路であり、江戸幕府によって整備された五街道の一つです。この街道は、甲斐国（現在の山梨県）へと繋がっています。江戸日本橋を起点として、内藤新宿、八王子、甲府を経て、信濃国の下諏訪宿で中山道と合流するまでに、44の宿場が設けられました。特に江戸から甲府までの37宿が「表街道」と称され、甲府から下諏訪までの7宿が「裏街道」とされました。

歴史的背景

甲州街道は、古甲州道を基盤にして江戸幕府の整備を受けた街道で、5番目に完成した街道として知られています。近世の初頭には「甲州海道」とも称されましたが、後に正徳6年（1716年）4月の整備を経て「甲州道中」という名に改められました。江戸時代、街道沿いは多くの寺院や同心屋敷で整備され、関所も設けられました。特に小仏や鶴瀬では、往来の安全を守る目的で設置されていました。

自然災害と街道の変遷

甲州街道は多摩川に近い地区を通っていましたが、そのルートは洪水によって何度も変更を余儀なくされました。そのため、かつての狭い街道は、時代の変化と共に新しいバイパス道に替わっていきました。

武士と参勤交代

戦国時代には甲斐国が武田氏によって支配され、武蔵国との対立が続きました。その影響で街道の整備が十分でない時期もありましたが、江戸時代に入ると徳川政権下での整備が進み、甲府藩と徳川家が接する地域であるため、重要性が増しました。この中で街道は参勤交代など政府交易路としても利用され、藩にも利がありました。

宿場町の発展と衰退

甲州街道には多くの宿場が存在し、国府参りなどの旅路を楽しむ人々で賑わいましたが、東海道の人気が高まるにつれ、江戸から離れた宿場町は衰退していきます。このような背景から、宿場町の発展にも波がありました。

現在の甲州街道

現在の甲州街道は、国道20号として整備されています。新宿区の四谷四丁目交差点から神奈川県境に至るまでの区間は、国道として多くの交通が行われています。現在でも旧来の甲州街道部分と新しい道路が存在し、歴史的景観や文化が地域に受け継がれています。

名所の紹介

甲州街道沿いには多くの名所旧跡が存在します。特に新宿御苑や、歴史ある宿場町の面影を残す地域で、往時の風情を感じることができます。また、猿橋やその周辺は日本三大奇橋の一つとして、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。

このように、甲州街道は単なる交通路以上のものであり、歴史、文化、地理的な意義を持つ重要な街道です。

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