小原紅早生

小原紅早生（おばらべにわせ）

小原紅早生は、香川県で生まれたオリジナルのみかんです。その最大の特徴は、何と言ってもその鮮やかな紅色でしょう。日本で栽培される約100種類のみかんの中でも、最も赤いと言われ「日本一赤いみかん」とも呼ばれています。果皮だけでなく、果肉も濃い橙色をしており、見た目にも美しいみかんです。

一般的なみかんの糖度が平均11〜12度であるのに対し、小原紅早生の糖度は13度と高く、濃厚な甘さを楽しめます。また、果皮は薄くて柔らかく、手で簡単に剥くことができます。果肉は果汁をたっぷり含んでおり、ジューシーで弾力があります。甘みと程よい酸味のバランスが絶妙で、一度食べたら忘れられない味わいです。

特徴

小原紅早生は、突然変異（枝変わり）によって生まれた品種ですが、親品種である宮川早生よりも高い商品価値を持っています。一般的に、枝変わりで生まれた品種は親品種よりも劣る場合が多いのですが、小原紅早生は例外です。その優れた品質から、多くの人に愛されています。

果樹の特性

樹勢は宮川早生よりもやや強いですが、温州みかんとしては中庸です。樹の形は宮川早生と似ており、枝の伸びる角度はやや直立気味です。葉の形や大きさも宮川早生と同程度ですが、葉柄が長く、少し立ち気味に生えるのが特徴です。

結実性は高く、毎年多くの花を咲かせます。隔年結果性は宮川早生と同程度か、わずかに劣ります。発芽と開花時期は宮川早生と同じです。

果実の特性

果実の大きさは宮川早生と同じくらいの中程度で、形も良く揃っています。果形は扁球形で、腰の部分が平らなのが特徴です。

露地栽培の場合、果皮の着色は10月上旬に始まり、11月上旬には完全に着色します。果皮の色は宮川早生よりも明らかに濃い紅橙色です。果面は宮川早生と同程度で、山下紅早生よりも滑らかです。油胞の密度は山下紅早生よりも高くなっています。

果皮の厚さやじょうのう膜の厚さは宮川早生と同程度です。果肉の色は濃橙色で、宮川早生や山下紅早生よりも濃いです。果肉の締まりが良く、浮皮の発生も少ないです。

成熟期は宮川早生よりも5日ほど遅く、香川県の露地栽培では11月上旬頃に収穫されます。糖度やクエン酸含有量は宮川早生と同程度です。

栽培特性

小原紅早生は隔年結果性が低く、豊産性も高いため、栽培は比較的容易です。しかし、若木時や結果量が少ないと、果実が大きくなりすぎて糖度が低くなることがあります。そのため、着果量の維持管理が重要です。

整枝や剪定は宮川早生に準じて行います。日照条件が悪い場所や、木が密集して樹冠内部まで日が当たらないと、果実の色が淡くなることがあります。摘果も宮川早生に準じますが、日当たりが悪く色が淡くなりやすい樹冠下部を重点的に行います。収穫時期には、陽の当たっていた部分の色が退色することがありますが、収穫後に10日間ほど貯蔵することで色が回復します。

生産

主に高松市、坂出市、観音寺市、三豊市で栽培されており、総栽培面積は約90ヘクタール、生産量は年間約650トンです。特に、小原紅早生の発祥の地である坂出市が最も多く出荷しています。

JA香川県を通じて、香川県内や京浜・京阪神市場に出荷されており、東南アジアにも輸出されています。ハウス栽培品は7月から8月頃、露地栽培品は11月から12月頃、樹上完熟栽培品は1月から2月頃に出荷されます。

栽培時には、透湿性シートで地面を覆い、雨水の吸収を抑えることで、樹に与える水分量を調整し、果実の糖度を高めています。

ブランド

糖度12.5度以上の最上級品は「さぬき紅」、糖度11.5度以上のものは「金時紅」というブランド名で出荷されています。また、糖度を上げるために一つ一つの実に袋を被せて越冬させる「越冬さぬき紅」もあります。

お歳暮やお中元などの贈答品として人気があり、百貨店などで販売されています。一般的なみかんよりも3割ほど高い価格で取引されています。2018年のハウス栽培ものの初競りでは、最高級の「さぬき紅」に1箱（2.5キログラム）100万円の値がつきました。

歴史

1973年、香川県坂出市のみかん農家・小原幸晴氏の園で、宮川早生の中から果皮が濃い紅色の突然変異種が発見されました。この赤いみかんは「小原紅早生」と名付けられ、地元農家の協力によって接ぎ木で増やされました。香川県農業試験場府中果樹研究所などで調査や栽培実験が行われ、1993年に品種登録されました。

[2017年]]12月には、「香川小原紅早生みかん」として地理的表示]に登録され、[[香川県初のGI登録となりました。

小原紅早生は、その美しい色と濃厚な甘さから、多くの人に愛されるみかんです。生産者の努力と愛情によって、毎年美味しいみかんが届けられています。

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