小国町立蓬萊小学校

小国町立蓬萊小学校：歴史と閉校、そしてその後

熊本県阿蘇郡小国町に位置する小国町立蓬萊小学校は、1874年（明治7年）に創立された歴史ある小学校でした。当初は小規模な学校でしたが、1923年（大正12年）には近隣の志屋尋常小学校、杉室尋常小学校と統合し、蓬萊尋常高等小学校となります。その後、昭和初期には分教場であった志屋、杉室両校が独立し、1941年（昭和16年）には蓬萊国民学校と改称されました。戦後の1947年（昭和22年）には小国町立蓬萊小学校となり、その後も近隣の小学校を統合しながら、地域教育の中核を担ってきました。1969年には志屋小学校、1974年には杉室小学校を統合し、規模を拡大しました。

平成時代に入ると、1999年には、環境に配慮した木製（杉）の机や椅子などの学校用家具を導入。その品質や安全性は、社団法人文教施設協会の調査研究でも高く評価されました。また、地域との連携も積極的に行い、2007年には小国町と国土交通省が共催した町内初の植樹祭を児童主体で実施するなど、地域貢献にも力を注ぎました。

しかし、児童数の減少などの社会情勢の変化により、2009年（平成21年）3月9日、閉校式が執り行われ、同年4月、近隣の小学校5校と統合し、小国町立小国小学校となりました。蓬萊小学校の長い歴史に幕を閉じました。

閉校までに、蓬萊小学校では総合学習の一環として郷土史を題材にした演劇の上演を積極的に行っていました。2006年には松原ダム・下筌ダム建設に反対する「下筌闘争」、2007年には小国町にある国指定天然記念物の大杉「阿弥陀杉」、2008年には小国町出身の実業家である大塚磨をテーマにした演劇が上演されました。これらの活動は、郷土への愛着を育み、地域の歴史を次世代に伝承する上で重要な役割を果たしました。

閉校後も、蓬萊小学校の校舎は地域に貢献しています。現在は熊本県が指定する避難施設として利用されているほか、近隣に人気の観光地である鍋ヶ滝があることから、土日祝日にはグラウンドが臨時駐車場として開放されています。また、鍋ヶ滝への臨時シャトルバスも不定期に運行されています。

さらに、1995年（平成7年）に開館した坂本善三美術館との連携により、毎年10月下旬には「ほっぽ宝来祭り」が開催され、地域住民の交流の場としても活用されています。

小国町立蓬萊小学校は、135年以上に渡り地域社会に貢献してきた学校でした。その歴史と伝統は、小国町の教育史に深く刻まれ、閉校後も、様々な形で地域住民に親しまれ続けています。 統合された小国小学校においても、蓬萊小学校の歴史と精神が受け継がれ、未来へと繋がることを期待します。

参考文献:

『小国町立蓬萊小学校百年誌』（1975年、蓬萊小学校100年祭実行委員会編）

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