小坂流加

小坂 流加

小坂 流加（こさか るか、1978年7月4日 - 2017年2月27日）は、日本の小説家です。静岡県三島市に生まれ、若くして難病と闘いながら創作活動を続けました。特に代表作である『余命10年』は、その感動的な内容が多くの読者の共感を呼び、没後に広く知られることとなります。

人物

四人姉妹の末っ子として育った小坂は、子供の頃から物語を創作することが大好きで、将来は小説家になりたいという夢を抱いていました。大学を卒業する時期に、国の指定難病である原発性肺高血圧症を発症。この病は肺の血管が狭くなる進行性の疾患であり、厳しい現実と向き合うことになります。しかし、病状が厳しい中でも、彼女は執筆への情熱を失わず、創作活動を精力的に続けました。

特に、自身の病気とも重なるテーマを描いた『余命10年』は、完成後に文芸社へ自費出版の形で持ち込まれました。その瑞々しくも力強い物語が高い評価を受け、書籍化が実現。こうして、小坂は長年の夢であった小説家としてデビューを果たします。デビュー前にも、第3回講談社ティーンズハート大賞において期待賞を受賞しており、若い頃からその文才は注目されていました。

私生活では、オーガニックなものを好み、特に花や植物を身の回りに欠かさないことを大切にしていました。この一面は、後に『余命10年』が映画化された際、監督の藤井道人によって作品世界に反映されています。映画の中で、小松菜奈が演じた主人公・高林茉莉が小説を書くデスクの周りには、季節ごとの花が飾られ、その一輪一輪に花言葉の意味が込められる演出がなされました。これは、小坂の人物像や彼女が大切にしていたものを敬愛する形で取り入れられたものと言えます。

作品

小坂流加が生涯に残した主な作品は以下の二つです。

余命10年
2007年に単行本として刊行された後、静かに読者の間で感動が広がり、2017年に文庫版が刊行されました。文庫化を機にさらに多くの人々に読まれるようになり、2022年3月時点で累計発行部数は80万部を突破するベストセラーとなりました。同年には静岡書店大賞の「映像化したい文庫部門」大賞を受賞し、その人気は確固たるものとなります。そして、2022年3月4日には広瀬すずと坂口健太郎の主演で映画が公開され、より幅広い層に作品が届けられました。
生きてさえいれば
この作品は、小坂が逝去した約半年後の2018年に刊行されました。彼女が愛用していたパソコンの中に遺された原稿を、家族が発見したことから出版が実現したものです。遺された原稿は文芸社の編集部に託され、単行本として世に出されました。著者の死後に出版されたにも関わらず、この作品もまた多くの読者の心に響き、2022年3月時点で累計発行部数は25万部を超えています。この作品の刊行は、彼女が最期まで創作への意欲を持ち続けていたこと、そして遺族や関係者の尽力によって実現した奇跡とも言えます。

逝去

小坂は、長年向き合ってきた原発性肺高血圧症の病状が悪化する中で、『余命10年』の文庫版の編集作業を終えた直後に容態が急変します。そして、2017年2月27日、38歳というあまりにも早すぎる年齢で、惜しまれながらその生涯に幕を閉じました。

病に侵されながらも、限られた時間の中で自身の経験や思いを昇華させた作品は、多くの読者にとって「生きる」ことの意味を深く考えさせられるものとなっています。彼女の短い人生は、残された作品を通して、今もなお多くの人々に感動と希望を与え続けています。

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