小山田弥太郎

小山田弥太郎の生涯

小山田弥太郎（おやまだ やたろう）は、室町時代後期から戦国時代にかけて活躍した武将であり、甲斐国都留郡に属する国衆の一人です。彼は郡内小山田氏の14代当主とされ、『甲州郡内小山田家系図』によると、本名は「信隆」とされるものの、確かな証拠は残されていません。

略歴

弥太郎が先代の信長から家督を継承したのは不明ですが、仮名「弥太郎」を名乗っていることから、若年での継承が推測されています。彼が活動した甲斐国では、守護の武田信昌の子である信縄と、油川信恵・岩手縄美の兄弟との間で激しい抗争が繰り広げられていました。この抗争は、明応8年（1499年）に一度和睦が成立しましたが、永正2年（1505年）に信昌が死去、さらに永正4年（1507年）には信縄が病死し、再び緊張が高まりました。

永正5年（1508年）についに家督を継承した信縄の嫡男・信直（後の信虎）と、叔父である油川信恵・岩手縄美兄弟との間で新たな家督争いが勃発しました。この際、弥太郎は信恵方に加勢しましたが、これには彼の叔母が信恵・縄美兄弟の母であったことが背景にあると考えられています。

10月4日、勝山合戦では信恵方が信直に大敗し、信恵・縄美兄弟は共に戦死しました。それを受けて、弥太郎は国中へ出兵するものの、同年12月5日には信直に再度敗北を喫し、戦死してしまいます。弥太郎の享年は不明ですが、仮名のままでの死去から若年だったと推測されております。

弥太郎の戦死後、郡内小山田氏の一門である境小山田氏の小山田平三（弾正）は、伊豆国韮山の伊勢宗瑞（後の北条早雲）のもとに亡命しました。このように、弥太郎の命を賭けた戦いは、彼の家族や一族に多大な影響を及ぼしました。

また、弥太郎の十三回忌は永正17年（1513年）12月5日に、広厳院（現山梨県笛吹市一宮町金沢）で子息とされる信有によって行われたとされています。彼の法名は『甲州郡内小山田家系図』では「徹山」と記されていますが、永昌院の二世・菊隠瑞潭の記録『菊隠録』では「義山」であると指摘され、誤りとされました。また、この系図では「儀山」として弥太郎の曽祖父である信実が記載されています。

弥太郎の短い生涯は、戦国時代の混乱を反映したものであり、彼の存在は当時の歴史と深く結びついています。彼の戦いや抗争の背景には、当時の政治体制や親族関係が複雑に絡み合っていたことが伺えます。

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