武田信昌

武田信昌：甲斐の守護大名、その生涯と功績

武田信昌は、室町時代後期から戦国時代前期にかけて活躍した武将で、甲斐守護を務めた武田氏の13代当主です。甲斐源氏の16代当主でもあり、武田信玄の曾祖父にあたります。父である武田信守の早世により、幼くして家督を継承しました。

若年での家督相続と守護代の専横

信昌が家督を継いだ当初、武田氏は守護代である跡部明海とその子、景家父子による専横を許していました。信昌は若年であったため、政治の実権は跡部氏が握っていたと考えられます。長禄元年（1457年）には、小河原合戦や馬場合戦で一門の吉田氏や岩崎氏らが失われるなど、武田氏は苦境に立たされていました。

跡部氏の排斥と国内の混乱

寛正5年（1464年）に跡部明海が死去すると、信昌は信濃諏訪氏の援助を得て、翌年には夕狩沢合戦で景家を撃破し、小田野城で自害させました。これにより跡部氏は排斥されましたが、甲斐国内では有力な国衆が台頭し、対外勢力の侵入も相次ぎ、依然として混乱が続いていました。

対外勢力との戦いと国内の動乱

文明4年（1472年）には、信濃の大井政朝が甲斐に侵攻し、花鳥山で合戦を行いました。その後、信昌は大井氏が弱体化したのを見て佐久郡に侵攻しましたが、村上氏に阻まれました。また、この頃には飢饉や疫病、一揆の発生など、国内は混乱を極めていました。さらに、穴山氏や大井氏、今井氏、小山田氏といった有力国衆が自立の動きを見せるようになり、信昌の支配力は低下していました。

家督相続と内乱

明応元年（1492年）、信昌は長男の信縄に家督を譲り隠居しました。しかし、次男である油川信恵への家督相続を望んでいたため、信昌・信恵方と信縄の間で内紛が勃発しました。この内紛は、甲斐の有力国衆や対外勢力を巻き込み、甲斐国を内乱状態に陥れました。明応7年（1498年）には一旦和睦が成立しましたが、伊勢盛時の脅威が去ると、再び抗争が激化しました。

死去と後世への影響

信昌は信縄との抗争の最中、永正2年（1505年）に59歳で死去しました。信昌の死後も内乱は続き、孫の武田信虎が信恵を討ち取るまで続きました。

信昌は長期にわたり国主の地位にあり、国人勢力や対外勢力を撃退するなど、甲斐の国内統一を進展させたと評価されています。また、後世の譜代家臣層には、「昌」の偏諱を持つ者が多いことから、その影響力の大きさが伺えます。しかし、晩年には国内を二分する内乱を招き、武田氏の戦国大名としての飛躍を遅らせたという負の側面も持ち合わせています。

その他

信昌は、矢坪の永昌院を創建し菩提寺としました。また、「落合御前」と呼ばれていたことから、万力郷落合に館を構えていたと考えられています。

子息のうち、帰雲軒宗存は出家したこと以外、詳しいことは分かっていません。


武田信昌は、激動の時代を生きた武将であり、その生涯は、武田氏の歴史において重要な位置を占めています。

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