小山貞雄

小山貞雄：波乱の政治家人生

小山貞雄（こやま さだお）は、1905年（明治38年）3月3日に東京で生まれ、1969年（昭和44年）8月22日に亡くなった日本の政治家です。彼は、地方政治の世界で重要な役割を果たしましたが、その経歴は波乱に満ちたものでした。

生い立ちと初期のキャリア

小山は、東北帝国大学（現在の東北大学）を卒業後、政治の世界に足を踏み入れました。最初の役職は、1937年から務めた下谷区議会議員（現在の特別区議会議員）で、2期5年間その任にありました。この経験が、彼の政治家としての基盤を築いたと言えるでしょう。

東京都議会議員としての活躍

1943年、小山は東京都議会議員選挙に下谷区選挙区から初当選し、その後5期にわたり都議会議員を務めました。都議会では、交通委員会委員長（1952-53年）、都議会自民党幹事長（1956-57年）、交通水道委員会委員長（1958-59年）など、重要な役職を歴任し、都政に深く関わりました。

都議会議長就任と黒い霧事件

1965年3月、小山は第20代東京都議会議長に選出され、全国都道府県議会議長会会長にも就任しました。しかし、その直後、都議会を揺るがす大事件、いわゆる「東京都議会黒い霧事件」が発覚します。この事件は、議長職をめぐる金銭授受が常態化していた都議会の腐敗を露呈しました。小山自身も、同年3月16日に贈賄容疑で家宅捜査を受け、4月16日には現職議長として逮捕されるという事態に陥りました。議長としての在任期間はわずか2ヶ月という短さでした。

事件の影響と都議会の解散

この事件は都民に大きな衝撃を与え、「議長の椅子をめぐる金品買収が慢性化していた都議会の堕落」に対する怒りの声が高まりました。リコールを恐れた都議会は、自主解散を可能とする法整備を急ぎ、その結果、都議会は解散に至りました。現在、東京都議会議員選挙が統一地方選挙と2年ずれて行われているのは、この時の解散が原因です。

裁判と晩年

1967年、約2年にわたる裁判の結果、小山は贈賄罪で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けました。しかし、翌1968年には明治100年を記念した特赦により、刑の執行を免除されました。その後、1969年8月22日に小山は亡くなりました。

栄典

1964年、小山は地方自治への貢献が認められ、藍綬褒章を授与されています。

小山貞雄は、その政治家人生において、栄光と挫折の両方を経験しました。東京都議会議員として都政に貢献した一方で、都議会黒い霧事件という汚職事件に関与し、その名を歴史に刻みました。彼の生涯は、政治の光と影を映し出す鏡として、後世に語り継がれるでしょう。

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