小島憲

小島憲（こじま けん）は、1893年（明治26年）2月17日に兵庫県で生を受けた、日本の政治学者であり、経済学博士号を持つ人物です。1987年（昭和62年）5月20日にその生涯を終えました。

彼の学問の道のりは、1917年（大正6年）に明治大学政治経済科を卒業することから始まりました。卒業後、翌1918年（大正7年）からは内務省に奉職し、実務の経験を積みます。

更なる研鑽を積むため、1922年（大正11年）にはイギリスとドイツへの留学を経験しました。この留学の目的は、応用社会学の研究にありました。当時の社会課題に対し、学問的なアプローチで解決策を探る姿勢がうかがえます。

帰国後、1925年（大正14年）に母校である明治大学に戻り、法学部の教授に就任します。その後間もなく、新設された政治経済学部に活躍の場を移し、長年にわたり教育と研究の第一線で貢献しました。大学での研究成果は高く評価され、1948年（昭和23年）には「王道の経済観と社会施設並に之れに関する若干の研究」と題する論文により、経済学博士の学位を取得しています。

小島氏は大学での活動に加え、社会への貢献も精力的に行いました。1949年（昭和24年）からは社団法人地方自治問題研究所の所長を務め（1952年まで）、日本の地方自治制度の発展に寄与しました。また、戦後の民主主義の根幹をなす選挙制度においても重要な役割を担い、1950年（昭和25年）には全国選挙管理委員会の委員に就任しました。

教育者としてのキャリアの頂点として、1953年（昭和28年）には明治大学の学長に選ばれ、大学運営の重責を担いました。学長在任中も、教育環境の整備や学術研究の振興に尽力したことでしょう。さらに、1960年（昭和35年）には社会政策学会の代表幹事という要職に就き、社会政策研究の発展と普及にも貢献しました。

1963年（昭和38年）に明治大学を定年退職した後も、教育・研究への功績が称えられ、翌1964年（昭和39年）には明治大学名誉教授の称号を授与されました。

大学での役職以外にも、多岐にわたる公職を歴任しました。全国町村議長会の顧問として地方自治の現場を支援し、選挙制度審議会の副会長として選挙制度の改革・改善に関わりました。また、東京都明るく正しい選挙推進協議会会長や明るく正しい選挙推進全国協議会会長などを務め、「明るく正しい選挙」の実現に向けた啓発活動や推進にリーダーシップを発揮しました。これらの活動は、彼の政治学者としての知見と、公正で民主的な社会の実現への強い意志を示すものです。

小島憲氏の生涯は、学術研究、高等教育、そして社会貢献活動という三つの柱に支えられていました。特に、応用社会学の研究を基礎とした彼の思想は、地方自治のあり方や選挙制度といった社会の仕組みに対する深い洞察をもたらしました。明治大学の学長として、また社会政策学会の代表として、後進の育成と学術分野の発展に尽力した功績は大きいと言えます。さらに、選挙制度の公正化に向けた長年の取り組みは、日本の民主主義の定着に貢献した重要な足跡です。彼の幅広い活動は、激動の時代における日本の社会発展に多大な影響を与えました。

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