小島町 (川崎市)

川崎市川崎区に属する小島町（こじまちょう）は、住居表示が実施されていますが、町内に丁目の区分は設けられていません。その面積はおよそ73万5千平方メートルに達しますが、広大な土地のほとんどが工業用地として利用されており、定住する住民は極めて少ない地域です。

この町は、戦後の高度経済成長期に進められた大規模な埋立事業によって生み出された土地の上に成立しています。具体的には、1969年（昭和44年）に、それまで川崎市大師河原の一部であった地域から分離する形で、新しい町として設定されました。地理的には、川崎区の北端近くに位置しており、京浜急行電鉄大師線の終点である小島新田駅からさらに進み、川崎貨物駅の広大な敷地を越えた先に広がっています。

小島町の境界は、自然地形やインフラによって周囲の地域と明確に区分されています。北側は国道409号線および神奈川臨海鉄道の浮島線を隔てて、殿町3丁目に隣接しています。西側は江川3丁目と接しています。東側は多摩運河に面しており、この運河の対岸にある浮島町とは、架けられた浮島橋によって結ばれています。南側は末広運河に面しており、その運河を挟んだ対岸は夜光地区です。このように、小島町は運河や鉄道といった地理的条件によって周囲から区切られ、独自の発展を遂げてきた工業エリアとしての性格を強く持っています。

町内には、日本の重工業を支える主要な事業所がいくつか立地しています。中央部には、金属製品メーカーである日本冶金工業の川崎製造所が広大な敷地を有し、大規模な工場群を形成しています。また、多摩運河沿いには産業ガスなどを扱う大陽日酸の京浜事業所が位置しています。これらの主要施設のほかにも、金属加工、機械製造、化学製品などの分野に属する様々な工場が集積しており、京浜工業地帯の中核的なエリアの一つとして、日本の産業活動に貢献しています。町域の全域は、都市計画法において「工業専用地域」に指定されています。この指定は、工業の利便性を最優先するために設けられるものであり、住宅や商業施設などの建設が厳しく制限されるため、結果として住民の居住が非常に少ないという特徴につながっています。

経済的な側面では、国勢調査とは別に、数年周期で実施される経済センサス調査によって、小島町内の事業所数やそこで雇用されている従業員数の統計がとられています。これらの調査は、工業地帯としての小島町の経済規模や産業構成の変化を把握する上で重要な情報源となります。

その他の生活関連情報として、郵便サービスについては、小島町は「210-0861」の郵便番号が割り当てられており、集配業務は川崎港郵便局が担当しています。また、地域の治安維持に関しては、町内は特定の警察署の管轄区域に含まれており、必要な警察活動が行われています。

総括すると、小島町は川崎市の臨海部に位置する、ほぼ全ての土地が工場として利用されている工業専用地域です。大規模な工場群が立ち並び、日本の産業基盤を支える重要な生産拠点としての役割を担っており、一般的な住宅地とは異なる、産業に特化した独特な景観と機能を持つ町であると言えます。

もう一度検索