夜光

夜光（やこう）

神奈川県川崎市川崎区の臨海部に広がる町名であり、現在は夜光一丁目から三丁目に区分されています。1967年（昭和42年）10月4日に住居表示が施行され、現在の行政区域が確定しました。総面積は約88.2ヘクタールに及びます。

地理

川崎市の湾岸部に位置し、東北から西南にかけて一丁目、二丁目、三丁目が整然と並んでいます。その形状は、西北に接する塩浜と千鳥運河に挟まれた細長い土地です。北側は田町や小島町に隣接し、南東側は千鳥運河にかかる千鳥橋を渡ると千鳥町、水江運河を挟んで水江町と向き合います。また、西側は池上町に接しています。「夜光」という正式な町名ですが、「夜光町」と表記されるケースも見られます。この地域は川崎を代表する工業地帯の一部であり、広大な敷地を持つ工場や事業所が数多く立地していますが、一般的な住宅はごくわずかです。また、近隣にある平間寺、通称「川崎大師」とは古くから深い歴史的な繋がりを持っています。

歴史

現在の夜光の町域は、かつて開拓された複数の新田、すなわち川島勘左衛門・富右衛門が開墾した夜光新田、和泉氏が拓いた和泉新田、そして小島新田の一部を起源としています。1937年（昭和12年）から1960年（昭和35年）にかけて行われた大規模な埋立事業によって、現在の土地が造成されました。その後、1965年（昭和40年）10月6日には、大師臨港地帯の土地区画整理事業（第4工区）における換地処分と住居表示の実施に伴い、現在の夜光一丁目、夜光二丁目、夜光三丁目が正式に設置されました。

地名の由来

「夜光」という印象的な町名の由来には、神秘的な伝承が語り継がれています。それは、まだあたりが暗い夜中にもかかわらず、沖合の海中にまばゆい光が煌々と輝いていたという話です。この不思議な光を放つ海に、後の川崎大師（平間寺）を開基したとされる平間兼乗が網を投げ入れたところ、一体の弘法大師像を引き揚げたと伝えられています。この引き揚げられた大師像を安置したことが、現在の平間寺の始まりとなったとされており、「夜光」という地名はこの海中の光に因んで名付けられたとされています。

交通

主要な道路として、国道132号が町内を縦貫しています。公共交通機関としては、川崎市営バスの路線が運行しており、地域へのアクセスを提供しています。また、貨物輸送を担う神奈川臨海鉄道千鳥線も、夜光町交差点のすぐ近くを通過しています。

町内の様相と施設

夜光の大部分は工業専用地域に指定されており、住民の数は限られています。このため、町内には多様な機能を持つ大規模な施設が集積しています。

主な施設として以下のようなものがあります。

川崎市南部リサイクルセンター
川崎市入江崎水処理センター
かわさき南部斎苑（火葬場・葬祭場）
ENEOS（旧JXエネルギー）川崎製造所および体育館
旭化成 川崎製造所
日本ゼオン 総合開発センター高圧ガス製造事業所
日本貨物鉄道（JR貨物）川崎車両所
大同特殊鋼 川崎工場
東洋ガラス 川崎工場
日本精塩
セブン-イレブン 夜光店
関東運輸局神奈川運輸支局川崎自動車検査登録事務所

これらの施設からもわかるように、夜光は都市活動を支える重要な産業拠点としての性格が強い地域です。

文化との関連

夜光は、いくつかの文化的・芸術的な作品の舞台やモデルとしても知られています。例えば、古屋兎丸氏による漫画作品『ライチ☆光クラブ』に登場する「螢光町」のモデルの一つとされています。また、人気音楽グループSEKAI NO OWARIの楽曲『スターライトパレード』の舞台のモデルになったことでも知られています。

その他

郵便: 町の郵便番号は210-0863であり、集配業務は川崎港郵便局が担当しています。
警察: 町内の治安維持は、定められた警察署の管轄区域によって行われています（詳細な管轄情報は資料外）。

関連項目

夜光に関連する運河として、夜光運河、多摩運河、大師運河などがあります。これらの運河は、臨海工業地帯における物流や水運において重要な役割を担っています。

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