小川和久

小川和久の人物像

小川和久（おがわ かずひさ）は、1945年12月16日生まれの日本の軍事アナリストです。静岡県立大学グローバル地域センターの特任教授を務めています。彼の経歴は、自衛隊生徒として陸上自衛隊に入隊したことに始まり、その後、航空機整備を学びました。神奈川県立湘南高等学校通信制を卒業し、学業も両立させています。

小川の生い立ちについては、母親の小川フサノの伝記『「アマゾンおケイ」の肖像』に詳しく記されています。この伝記を執筆するにあたり、彼は母親の生涯を丹念に調査しました。その過程で、サンパウロの日本移民史料館のデータベースを活用したり、現地のジャーナリストに協力を依頼したりするなど、詳細な裏付けを得る努力をしています。また、母親が上海に渡った際の豪華客船や、人生に影響を与えた人物についても深く掘り下げています。特に、アメリカの外交官ロバート・ジョイスとの関係は、彼の人生観にも大きな影響を与えたことが伺えます。

軍事アナリストとしての活動

小川は、講談社の「週刊現代」記者を経て、日本初の軍事アナリストとして独立しました。自衛隊出身でありながら、幹部自衛官ではなく自衛隊生徒出身という異色の存在です。欧米では一般的な軍事アナリストという職業が、当時日本では確立されていなかったため、彼はそのパイオニアとして活動を始めました。

彼は、事務次官級の内局官僚や統合幕僚長、陸海空幕僚長のOBが務める隊友会の理事も務めています。また、2008年には特定非営利活動法人国際変動研究所を設立し、理事長に就任しましたが、2023年12月に閉鎖されました。

普天間基地移設問題への関与

小川は、普天間基地移設問題にも深く関わっています。1996年の橋本龍太郎首相による普天間飛行場返還決定の際、彼は自民党委員として、政治主導で問題解決を図るよう進言しました。また、2010年には鳩山由紀夫首相から首相補佐官就任を要請され、米国政府との協議にも参加しました。

彼は、嘉手納飛行場統合案、グアム移転案、海上ヘリポート案のいずれにも否定的であり、キャンプ・ハンセン移転案を主張しています。彼の提案は、キャンプ・ハンセン内の旧米軍「チム飛行場」跡に2500メートル級の滑走路を建設するというもので、海兵隊の訓練に支障が出ないとしています。また、普天間飛行場の即時閉鎖と、キャンプ・シュワブへの一時的な移駐を提唱し、危険除去を迅速に行うべきだと主張しています。

主な著作

小川は、軍事、安全保障に関する多くの著作を執筆しています。

『原潜回廊 第三次世界大戦は日本海から始まる』
『在日米軍 軍事占領40年目の戦慄』
『図説・陸の自衛隊』
『図説・海の自衛隊』
『図説・空の自衛隊』
『戦艦ミズーリの長い影 検証・自衛隊の欠陥兵器』
『仮想敵国ニッポン アメリカの対日戦略シフト』
『「湾岸危機」の教訓 戦略なき日本の敗北』
『「頭脳なき国家」の悲劇』
『ヘリはなぜ飛ばなかったか 阪神大震災の教訓』
『日本は「国境」を守れるか』
『14歳からのリアル防衛論』
『この1冊ですべてがわかる普天間基地問題』
『日本人が知らない集団的自衛権』
『日米同盟のリアリズム』
『フテンマ戦記 基地返還が迷走し続ける本当の理由』
『「アマゾンおケイ」の肖像』
『メディアが報じない戦争のリアル 日本の「戦争力」を徹底分析』
* 『日本人が知らない台湾有事』

これらの著作を通じて、彼は日本の安全保障における問題点や、独自の視点からの解決策を提示しています。また、母親の人生を綴った『「アマゾンおケイ」の肖像』では、ジャーナリストとしての取材力と、家族への深い愛情が感じられます。

その他の活動

小川は、テレビ番組にも多数出演しており、軍事、安全保障に関する解説を行っています。また、多くの公職にも携わっており、政府や自治体の政策決定にも関与しています。彼の活動は、軍事アナリストとしてだけでなく、社会の様々な分野に影響を与えていると言えるでしょう。

小川は、その豊富な知識と経験に基づき、日本の安全保障に関する問題提起を続けています。彼の活動は、今後の日本の防衛政策を考える上で、重要な視点を提供してくれるはずです。

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