小川恭一

小川恭一（おがわ きょういち）は、1925年に東京府で生まれ、2007年9月25日に生涯を閉じました。彼は日本の歴史家であり、特に江戸時代に関する事典編纂者として知られています。慶應義塾大学を卒業後、1943年に在学中、奥野信太郎教授の紹介により、歴史家の三田村鳶魚に師事しました。この時期に、三田村鳶魚から徳川幕府関係の貴重な記録を譲り受け、帝国図書館に勤務した経験を持っています。

戦後、小川は一時的に会社員として働きましたが、1980年代に入ると研究活動を再開しました。彼の研究は、大名、旗本、御家人といった徳川幕府の制度に焦点を当て、その実態を詳細に解明することに貢献しました。特に、これまであまり明らかにされていなかったこれらの身分の人々の生活や制度、昇進などについて、新たな知見をもたらしました。小川の研究は、歴史学の研究者だけでなく、歴史小説や時代小説のファンにも重要な情報源となっています。

彼の著作には、『大名概要 城主大名の特権』（1991年）、『お旗本の家計事情と暮らしの知恵』（1999年）などがあります。特に、『江戸の旗本事典』（2003年）は、旗本に関する詳細な情報を提供しており、歴史ファンにとって必携の書となっています。また、『徳川幕府の昇進制度 寛政十年末旗本昇進表』（2006年）では、当時の昇進制度を具体的に示し、『江戸城のトイレ、将軍のおまる 小川恭一翁柳営談』（2007年）では、江戸城の興味深い一面を語っています。

さらに、小川は編纂者としても活躍し、『江戸幕府旗本人名事典』（1989年 - 90年）、『江戸幕藩大名家事典』（1992年）、『寛政譜以降旗本家百科事典』（1997年 - 98年）など、数多くの重要な事典を編纂しました。これらの事典は、江戸時代の歴史研究において、貴重な資料として広く利用されています。これらの業績を通じて、小川恭一は日本の歴史研究に大きな足跡を残しました。

小川の著書は、学術的な価値が高いだけでなく、歴史を身近に感じさせてくれる魅力も持っています。彼の研究は、江戸時代の社会構造や人々の暮らしを理解する上で、欠かせないものとなっています。彼の詳細な研究と事典編纂への貢献は、歴史研究者だけでなく、多くの歴史愛好家にとっても、非常に価値のあるものです。

もう一度検索