小平市平櫛田中彫刻美術館

小平市平櫛田中彫刻美術館：近代彫刻の巨匠、平櫛田中の世界に触れる

東京都小平市に位置する小平市平櫛田中彫刻美術館は、日本近代彫刻界の巨匠、平櫛田中の作品を数多く所蔵する公立美術館です。田中の旧宅を「記念館」として公開しており、併設された「展示館」では、その優れた彫刻作品の数々が展示されています。

美術館の構成：旧宅と展示館

美術館は、平櫛田中が晩年を過ごした邸宅である「記念館」と、作品展示・保存のために新設された「展示館」の2つの建物から成り立っています。

記念館は、昭和44年(1969年)、田中98歳の時に建てられた書院造りの建物で、「九十八叟院」とも呼ばれています。国立能楽堂の設計で知られる建築家、大江宏による設計で、伝統的な建築様式と田中の生活空間が調和した空間となっています。ここでは、田中が100歳の時に20年後の制作のために取り寄せた彫刻用の原木なども見ることができます。

展示館は、田中の没後、遺族から寄贈された作品を展示・保存するために、記念館の隣接地に建設されました。設計は大江宏の次男である大江新が担当し、近代的な建築様式を取り入れながら、記念館との調和も考慮されています。地上2階、地下1階建てで、延床面積は781.02㎡です。

庭園：四季折々の変化を楽しむ空間

美術館には、枯山水庭園の中庭2庭と、玉川上水の木々を借景とした南庭があります。岩城亘太郎や永井楽山、伊藤邦衛といった造園家たちが手がけた庭園は、四季折々の花々が咲き乱れ、訪れる人の目を楽しませてくれます。特に、1月から2月にかけて見頃を迎える梅は圧巻です。

展示内容：代表作から多彩な作品群

常設展示では、田中の代表作である「鏡獅子」や「尋牛」、「気楽坊」といった人気の高い作品を鑑賞できます。これらの作品を通して、田中の高度な彫刻技術と、仏像や自然への深い造詣を垣間見ることができます。また、2年に一度、偶数年に特別展を開催し、田中の作品以外の彫刻作品や関連作品を紹介することで、より多角的な視点から近代彫刻の歴史や動向を学ぶ機会を提供しています。過去には、橋本平八、大内青圃、辻晉堂など、田中にゆかりのある作家たちの作品を展示した特別展や、田中の書、肖像彫刻、ブロンズ彫刻の制作過程などを紹介する企画展などが行われてきました。

美術館の歴史：開館から現在まで

1984年10月25日、「小平市平櫛田中館」として開館。その後、作品展示のための展示館を増設し、1994年2月18日に開館記念展を開催しました。1994年10月25日には開館10周年を迎え、以降、様々な特別展や記念展を開催しながら、美術館は発展を続けています。2005年には、遺族から214点の作品が寄贈され、2006年4月1日には現在の「小平市平櫛田中彫刻美術館」に改称されました。現在も、ボランティアによる活動やホームページの開設など、地域社会との連携を深めながら、美術館としての役割を担っています。

アクセス

西武多摩湖線「一橋学園」駅南口から徒歩10分、JR武蔵野線「新小平」駅、JR・西武線「国分寺」駅からタクシーで約5分と、比較的アクセスしやすい立地にあります。

まとめ

小平市平櫛田中彫刻美術館は、近代彫刻の巨匠、平櫛田中の作品を鑑賞できるだけでなく、その生涯や制作活動、そして豊かな自然を感じることができる貴重な場所です。常設展と特別展、そして美しい庭園を堪能し、日本の近代彫刻の歴史に深く触れてみてください。

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