小弓の庄

小弓の庄について

小弓の庄（こゆみのしょう）は、愛知県犬山市に位置する歴史的な建築物であり、明治時代に銀行として建立されました。その後、さまざまな用途に使用され、最終的には地域の文化・まちづくり拠点施設として再生されました。本稿では小弓の庄の歴史、建築様式、現在の利用状況について詳述します。

歴史

小弓の庄は、明治40年代に吉野利左衛門の手により、加茂郡銀行羽黒支店として建築されました。この銀行は1910年に岐阜市で設立された加茂郡銀行に属していて、1930年までその名の下で運営されました。その後、銀行は何度かの改称と合併を経て、最終的に大垣共立銀行羽黒支店として機能していました。この時期、周囲には地歌舞伎を上演する芝居小屋という文化的な場も存在し、地域の賑わいの一部でした。

その後、1931年に大垣共立銀行羽黒支店は閉店し、建物は福冨錠一によって私宅として利用されるようになりました。この福冨氏は地域の医療に情熱を注ぎ、昭和病院や愛北病院の設立にも関与したとされています。1943年には愛北病院羽黒診療所としても利用され、戦後は福冨家の住居としての役割を果たしました。

移築と復元

平成時代に入ると、建物の存続が危ぶまれ、福冨房江氏は解体を考えていました。しかし、犬山市の要請により、建物は1995年に市に寄付され、その後解体保存工事が進められました。1999年には移築復元工事が始まり、翌年に完了。これにより小弓の庄は再び地域に息を吹き返しました。

小弓の庄の現在

2000年1月30日、まちづくり拠点施設として小弓の庄の開館式典が行われました。「小弓」という名称は、かつてこの地域に存在した小弓荘に由来します。また、地名は羽黒村で取れる竹が弓矢の材料に適していたことにも関係しているとされています。現在、小弓の庄は地域の文化活動やイベントの場としても利用され、観光の名所となっています。

建築様式

小弓の庄は、木造2階建ての寄棟造で、屋根は桟瓦で葺かれています。全体としては和風の要素が強いですが、随所に洋風のデザインが見受けられる擬洋風建築となっています。玄関ホールは2階の天井まで吹き抜けで、建物の奥部付近では洋風のペディメントが見られます。

1階には8畳と12畳の和室、展示室があり、2階には22畳の和室があります。このように、過去の銀行の面影とともに、地域の文化財としての役割を継承しています。

利用案内

小弓の庄は開館時間が午前9時から午後5時までで、月曜日と年末年始には休館となるため、訪れる際は事前に確認が必要です。交通アクセスとしては、名鉄小牧線の羽黒駅から徒歩3分で到着することができます。

まとめ

小弓の庄は、愛知県犬山市の歴史と文化を支える象徴として、多くの訪問者に親しまれています。その美しい建築様式と地域への深い関与から、今後も地域の重要な文化財として継承され続けることでしょう。

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