小本章

小本章（こもと あきら、1935年8月14日-2017年没）は、日本の画家です。本名は小本昌彰（こもと まさあき）といい、野外を舞台にした独自の表現方法で知られています。

彼は東京府東京市大森区（現在の東京都大田区）に生まれ、岐阜県関市で育ちました。1958年に岐阜大学美術工芸科を卒業後、1962年には東京教育大学（現・筑波大学）構成デザイン研究生課程を修了。その後、絵画、版画、写真など多様なメディアを用いた作品制作を始めます。

小本は、写実的な景観写真と、室内での緻密なスケッチを組み合わせるという、斬新な手法で作品を制作しました。この手法は、風景の客観的な描写と、アーティスト主観による解釈の融合を可能にし、「美術の新しい表現方法」として高く評価されました。単なる風景画にとどまらず、自然と人間の関わり、そして時間の流れまでもが感じられる奥深い作品群は、見る者に多様な感情と解釈を呼び起こします。

1960年代からは、彼の作品はスペインをはじめとするヨーロッパ各地で展覧会を開催され、国際的な評価を獲得しました。国内においても数々の展覧会に参加し、その才能は広く認められました。代表的な展覧会としては、1981年の「日本の現代美術」展（プラハ）、1983年の「現代美術における写真」展（東京国立近代美術館、京都国立近代美術館）などがあります。1981年には、ポーランドのヴロツワフ市立写真美術館で個展を開催するなど、国際的な活躍も目立ちました。

教育者としての顔も持ち合わせていた小本は、1971年から1974年まで岐阜教育大学（現・岐阜聖徳学園大学）で教鞭を執り、その後1994年からは女子美術大学で後進の指導にあたりました。さらに、1971年から講談社フェーマス・スクールズでインストラクターを務めるなど、教育者として幅広い分野で活躍しました。1981年には、アメリカ政府の給費研修員として研修旅行に参加し、海外の美術や教育についても深い理解を深めました。

1996年には京都に移住。その後も精力的に活動を続け、2003年には美濃加茂市民ミュージアムで「坂井範一とゆかりの作家展」に出品、2004年には同ミュージアムで個展「小本章展」を開催しました。また、小本は「自然の色をさがそう」と題したワークショップを主催するなど、教育活動にも積極的に取り組んでいました。これは、彼が若い世代への美術教育に強い関心を持ち、自身の表現方法を共有することで、より多くの人々に美術への理解を深めてもらいたいと考えていたことを示しています。

小本章の作品は、単なる技術の粋を超えた、自然への深い愛情と、表現への飽くなき探求心が凝縮されたものです。彼の活動は、日本の美術界に多大な影響を与え、現在も多くのアーティストや美術愛好家たちに刺激を与え続けています。彼の作品を通して、自然の美しさや、人間の創造性の無限の可能性を改めて感じることができるでしょう。

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