小松未歩 3rd〜everywhere〜

小松未歩 3rd〜everywhere〜：記憶に残る歌声と繊細なサウンドスケープ

2000年2月16日、シンガーソングライター小松未歩の3枚目のオリジナルアルバム『小松未歩 3rd〜everywhere〜』がGIZA studioよりリリースされました。GIZA studio移籍後初のアルバムとなる本作は、聴く者の心に寄り添う繊細な楽曲の数々と、こだわりのパッケージングで高い評価を受けました。

アルバムのコンセプトと制作

『everywhere』というサブタイトルには、「いつも近くに感じてほしい」という小松未歩の温かい想いが込められています。アルバムには「さよならのかけら」から「風がそよぐ場所」までの3作のシングル曲に加え、書き下ろし楽曲が収録されています。2002年の『小松未歩 5 〜source〜』までセルフカバーは収録されておらず、小松未歩の音楽性の進化が感じられます。

サウンド面では、B'zやZARDの作品でも知られるレコーディングエンジニア、野村昌之氏が参加。その高い技術によって、小松未歩の繊細な歌声を最大限に引き出した、クリアで深みのあるサウンドが実現しています。

パッケージングへのこだわり

『小松未歩 3rd〜everywhere〜』は、パッケージにも強いこだわりが感じられます。スリーブケース仕様の外装やクリアシートを用いた裏ジャケットなど、細部にまでわたる丁寧な作りは、音楽への愛情を感じさせます。さらに、歌詞カードは広げるとジャケット写真のミニポスターになるという、嬉しいサプライズも用意されています。

楽曲解説：多様な魅力が詰まった11曲

アルバムには、シングルバージョンとは異なるアレンジが施された楽曲や、アルバムのために書き下ろされた新曲など、バラエティに富んだ11曲が収録されています。

特に注目すべきは、「BEAUTIFUL LIFE」でしょう。この楽曲のビデオクリップは、小松未歩本人が歌う姿を収録した初めての作品であり、ジャケット写真などで見られる後頭部で髪をまとめた姿とは異なる、髪を下ろしたショートヘアの姿が印象的です。また、シングル「As」や「風がそよぐ場所」、カップリング曲として収録された「BOY FRIEND」なども、アルバムバージョンならではの聴きどころとなっています。「BOY FRIEND」は、当初2ndアルバム『小松未歩 2nd〜未来〜』への収録が予定されていたものの、最終的に本作に収録されることになりました。

さらに、各楽曲はテレビ番組の主題歌やエンディングテーマとしてタイアップされており、幅広いリスナーに小松未歩の音楽を届ける役割を果たしました。

批評家の評価と商業的成功

音楽雑誌『CDジャーナル』は、本作について「何気ない情景や感情を繊細に表現した言葉遣いが知的」と評価する一方で、「『No time to fall』の声の伸びがいま一歩」という指摘もありました。

しかし、商業的には大きな成功を収め、オリコンチャート最高5位、累計売上枚数10万枚を記録しました。

まとめ：普遍的な魅力を持つ傑作アルバム

『小松未歩 3rd〜everywhere〜』は、小松未歩の音楽性を多角的に示した、完成度の高いアルバムと言えるでしょう。繊細な詞とメロディー、洗練されたサウンド、そしてこだわりのパッケージング。これらの要素が一つとなり、聴く者に深い感動と余韻を与えてくれます。彼女の音楽を初めて聴く方にも、古くからのファンの方にも、強くおすすめしたい一枚です。

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