小林作太郎

小林 作太郎の生涯と業績

小林作太郎（こばやしさくたろう）は、1869年に肥前国長崎で生まれた明治から昭和初期の著名な電気技術者です。その経歴は独特で、技術の基礎を幼少期から独学で学ぶ姿勢がありました。10歳で小学校を中退し、父親の影響もあって、幼少の頃から機械に強い興味を持っていました。

幼少期と技術の探求

小学を中退した後、彼は自らの手で蒸気機関の模型を作るなど、早くから技術者としての才能を発揮しました。12歳の頃には、真鍮を使った陸用蒸気機関の模型を作成し、さらには汽車や汽船の模型も手掛けるようになります。その学びの一環として、長崎に停泊していたフランス船に泳いで通い、船内を詳しく観察する姿勢からも、彼の探求心が伺えます。

職業人生の始まり

1885年に三菱造船所に入社し、1890年に開催された内国勧業博覧会では「壜中軍艦」を出品し、注目を集めました。その後、東京に移り、田中製造所（現在の東芝）に職人として入社。1906年には自ら研究室を設け、当時としては画期的な200kWの三相交流発電機を発明します。彼のアイデアは、電気技術の発展に大きく寄与しました。

趣味と多才な才能

また、小林は多才な人物でもあり、特に自転車の曲乗りの名手としても知られていました。若い頃からオーディナリー型の自転車を巧みに操り、1898年には上野で開催された自転車競走でもその技術を披露しました。加えて、盆栽や釣りの技術にも秀でていたと言われています。

経歴の集大成

田中製造所から芝浦製作所へとキャリアを重ね、最終的には常務取締役にまで昇進しました。彼の業績は電気技術にとどまらず、製造業全体に影響を与えました。晩年には、病床にあっても創意工夫を忘れず、「病床で食事をするための椅子」を考案するなどし、彼の技術者としての姿勢が生涯にわたって貫かれていました。

彼の遺産

小林作太郎の死後、1939年には『小林作太郎傳』が東京芝浦電氣によって編纂され、彼の業績が広く知られることになりました。戦時中は、彼の名が教科書にも取り上げられ、若い世代への模範として位置づけられました。1942年から1944年にかけては、様々な著書が出版され、彼の影響力は持続的でした。現在、川崎市にある東芝京浜事業所内には、小林の自宅工作室を移設した「小林記念室」があり、彼が使用した工具類が保存されていますが、一般公開はされていません。彼の業績は、今なお多くの人々に影響を与えています。

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