小林毅二

小林 毅二（こばやし たけじ）

1946年8月20日、東京都品川区に生まれた小林毅二氏は、日本の元プロ野球審判員であり、セントラル・リーグの審判部長や審判部指導員を歴任した人物です。

経歴

荏原高校を卒業後、日本大学に進学。大学卒業後は丸井に勤務しながら、東京都高校野球連盟や首都大学野球リーグで審判としての経験を積みました。これらのアマチュアでの実績が認められ、1972年にセントラル・リーグ審判部に入局し、プロ野球審判としてのキャリアをスタートさせました。

セ・リーグ審判として活動する中で、組織内でも重要な役割を担うようになります。1997年には審判部の副部長に就任。さらに2000年からは審判部長として、リーグの審判組織を率いる立場となりました。2003年12月に審判部長を退任した後も、2005年からはプロ野球マスターズリーグの審判員としてグラウンドに立ち続けました。プロ野球の審判員として最後に袖番号「13」（1988年導入）を付けていた期間は、審判部指導員を務めていた2010年までとされています。2010年限りで指導員からも退きましたが、現在では資格を回復し、再び東京都高野連および首都大学リーグでアマチュア野球の審判員として活動しています。

主な実績とエピソード

小林氏は、長年の審判キャリアを通じて多くの重要な試合を担当しました。通算出場試合数は2898試合に及びます（この記録は2003年シーズン終了時点のもの）。初出場は1974年6月18日、川崎球場で行われた大洋対阪神の試合で、左翼外審を務めました。

オールスターゲームには6回（1984年、1988年、1994年、1995年、1999年、2000年）出場。また、プロ野球の最高峰である日本シリーズには12回（1988年から1998年までの11年連続出場を含む、2000年にも出場）出場しています。特に、シリーズの第1戦はトップクラスの審判員が任されることが多く、小林氏は1990年、1992年、1994年、2000年と、実に4回も第1戦の球審を務めました。これは、彼がリーグ内でいかに高く評価されていたかを示すものです。

キャリアにおける特筆すべき試合として、1994年10月8日にナゴヤ球場で行われた中日対巨人の最終戦が挙げられます。この試合は両チームが優勝をかけて争う「10.8決戦」として語り継がれていますが、小林氏は審判部役員の推薦を受けてこの大一番で球審を務めました。また、1999年8月7日に神宮球場で行われたヤクルト対阪神戦では、阪神の野村克也監督に対し退場処分を宣告。これは、プロ野球において野村監督を退場させた唯一の審判員として記録されています。

審判スタイルとこだわり

審判技術や用具、スタイルにも独自の試みやこだわりが見られました。1986年からは、より安全性に配慮したインサイドプロテクターを着用。さらに1987年には、球審時の構えを従来のスクエアスタンスからシザーススタンスに変更しました。これは、投球により体勢を崩されにくいとされる構え方です。

服装に関しても特徴的な一面がありました。シーズン序盤や終盤、あるいは日本シリーズで屋外球場のナイトゲームとなる場合など、肌寒くなる気候条件でも、小林氏は球審としてブレザーを着用せず、半袖シャツ姿で務めることが多かったといいます。また、多くの球審が布製のボール袋を使用する中、小林氏は現役引退まで一貫して皮革製のボール袋を使用し続けました。ただし、マスターズリーグで審判を務める際には、布製のボール袋を使用していました。

なお、1993年に同姓の小林和公審判員がセ・リーグに入局したため、それ以降、スコアボードなどに氏名が表示される際には「小林毅」と略記されるようになりました。また、同じくプロ野球審判員であった三浦真一郎氏とは、日大時代の同級生でした。三浦氏は天性のジャッジセンスを持ちながらも1985年に現役を引退しています。

小林氏は、選手や監督から信頼される的確なジャッジと、審判組織をまとめる手腕を兼ね備え、長年にわたり日本のプロ野球界に貢献した審判員です。その豊富な経験は、現在の後進指導やアマチュア野球での審判活動にも活かされています。

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