小林秀雄賞

小林秀雄賞について

小林秀雄賞（こばやしひでおしょう）は、2002年に設立された日本の権威ある学術賞で、一般財団法人新潮文芸振興会が主催しています。この賞は著名な文芸評論家であり批評家である小林秀雄の生誕100周年を記念して設けられました。受賞の対象は、豊かな日本語表現を用いられた評価の高い著作、特に評論やエッセイに限定されています。形式的には、自由で柔軟な知性に基づいて新しい世界観を示した作品が選ばれますが、小説や詩、戯曲などのフィクション作品は選考の対象外とされています。

この賞の起源としては、1988年に創設された新潮学芸賞があり、後にノンフィクションを主な対象とする新潮ドキュメント賞との分離に伴い新たに設けられました。初期は季刊誌『考える人』で受賞者を発表していましたが、2017年の休刊以降は、Web版『考える人』や文芸誌『新潮』上で毎年受賞作品が発表されています。

選考委員

現在の選考委員には、関川夏央、堀江敏幸、養老孟司、片山杜秀、そして國分功一郎が名を連ねています。これまでの選考委員には、河合隼雄、加藤典洋、橋本治が含まれることもあり、多様な視点から選ばれてきたことが分かります。

受賞タイトルの一覧

受賞作品は毎年のように次々と発表され、これまでに多くの著名な作品が選ばれています。初年度の2002年には、橋本治の『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』や斎藤美奈子の『文章読本さん江』が受賞しました。以降、2003年には岩井克人の『会社はこれからどうなるのか』や吉本隆明の『夏目漱石を読む』が選ばれ、2004年には佐野洋子の『神も仏もありませぬ』が受賞しています。

近年の受賞作にも目を向けると、2022年には竹内康浩と朴舜起の共著による『謎ときサリンジャー』が受賞し、2023年には平野啓一郎の『三島由紀夫論』が選ばれました。2024年には池谷裕二の『夢を叶えるために脳はある』が予定されています。

受賞の意義

この賞の授与にあたっては、記念品と副賞として100万円が受賞者に贈られるため、多くの作家や評論家にとって名誉ある栄冠とされています。また、著者が発表した作品は文芸界において重視されることとなり、その後のキャリアにも良い影響を与えることが多いです。

このように小林秀雄賞は、年々作品の質や多様性が一層際立ち、日本の文芸意識を今後も育んでいく重要な役割を果たしています。またこの賞を通じて、日本文化の深化や、新しい考え方が生まれていくことが期待されています。

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